「現行で買える最も強力なiPad」であるM5 iPad Pro・16GB RAMの構成ですら、ほぼ毎日のようにアプリがクラッシュし、せっかく配置したウインドウが全画面表示にリセットされる——iPadOS 26の登場から約1年、9to5Macに掲載された総括レビューでは、本格的なウインドウ管理という大きな進化と、ハイエンド機でも残る未完成な挙動の両方が率直に語られています。

15年待った「本物のウインドウ」がもたらした体験の変化

最大の評価ポイントは、iPadOSにようやく本格的なアプリのウインドウ管理が搭載された点です。レビューでは「15年かかったが、Appleはついに適切なウインドウ機能をiPadOSにもたらした」と位置づけられています。

実際に使い手の体験を変えた要素として、以下が挙げられています。

  • アプリウインドウを自由にリサイズし、用途に応じてフルスクリーンと左右のポップオーバーを使い分けられる柔軟性
  • ウインドウが画面下部にかからない設定であれば、macOSのようにドックを常時画面上に表示できる(しかも追加できるアプリ数が増え、ファイルフォルダも置ける)
  • 新しいPreviewアプリと組み合わさったFilesアプリが「Macとほぼ同等の使い勝手」に到達した
  • アプリの機能やコントロールを露出するハブとして機能するメニューバー

加えて、生産性とは直接関係しないものの、Apple JournalがiPadで使えるようになった点も歓迎されています。総評は「iPadOSが、iPadの強力なハードウェアにようやく釣り合うようになった」というもので、単なる機能追加ではなく「iPadの使い方そのもの」が変わるレベルの変化が起きていると読み取れます。

ハイエンド構成でも崩れる「persistent size and placement」

一方で、iPad Proをフルタイムのコンピュータとして使うヘビーユーザーの目線からは、未完成と言える点も明確に挙げられています。

特に問題視されているのが、Appleが大々的に打ち出した「persistent size and placement(永続的なサイズと配置)」の挙動です。理屈の上ではウインドウは配置した場所・サイズのまま維持されるはずですが、実際には「ほぼ毎日、少なくとも1日おきには、アプリがクラッシュして全画面表示にリセットされる」とされています。

ここで重要なのは、検証環境がM5チップ・16GB RAM・10コアCPUを搭載した「現行で買える最も強力なiPad」である点です。非力な端末ならまだ理解できるものの、ハイエンド構成でこの頻度でクラッシュが起きるのは問題で、Macではこれほどの頻度では発生しないとされています。せっかくのウインドウ機能が、配置のやり直しという地味な手間で帳消しになりかねないという、ヘビーユーザーほど刺さる不満です。

Slide OverはiPadOS 18より退化、Safariのバグも残る

もう一つの深刻な指摘がSlide Overです。iPadOS 26.1で機能自体は復活したものの、複数のアプリを同時にSlide Overに保持する機能が依然として欠けており、「iPadOS 26のSlide Over体験はiPadOS 18より悪い」と評されています。iPadを多くの面で前進させたアップデートにもかかわらず、ここでは退化していると伝えられています。

そのほか、細かい不満として以下が挙げられています。

項目iPadOSでの挙動
右クリック反応が遅くもたつくと感じる(Macでは瞬時に反応すると比較されている)
トラックパッドでの操作ウインドウをリサイズしようとすると移動してしまい、その逆も発生する
Safariのアドレスバー入力した文字がソフトウェアの自動候補に上書きされて消えるキーボードバグがある
Safariの互換性一部のサイトで必要なボタンをクリックできず、結局Macを使わざるを得ない場面が残る

読者コメント欄で4人から共感を集めたdchabz氏のコメントも紹介されており、「フル機能のSafariがあれば多くの問題が解決する」「多くのworkflowsがMacよりiPadのほうがぎこちなく重く感じる」「外部ディスプレイ(Studio Display)接続時の体験は貧弱でクラッシュやラグが多い」「iPadはクラムシェルモードに入れない」「あと一歩のところで届いていない」と、Mac代替としての“あと一歩”の感覚が共有されています。

iPadOS 26は「土台」、iPadOS 27に続くかが焦点

総括として、iPadOS 26は「iPadにとってこれまでで最大のソフトウェアアップグレード」であり、未解決の問題はあるものの「Appleがこの先に積み上げるための強固な土台」だと位置づけられています。一方で、折りたたみiPhoneやタッチスクリーンMacが視野に入る世界でのiPadの将来像については疑問も呈されており、iPadOS 27が同じ前向きなトレンドを続けるかが注目点です。

ウインドウ機能やFilesの進化は、軽い作業中心のユーザーにとって「今すぐ体感できる恩恵」として効いてきますが、iPad Proをメインマシンとして酷使するほどクラッシュ頻度・Slide Overの仕様・Safariの互換性といった残りの“あと一歩”が前景化してくる——iPadOS 26はそういう二面性を持ったアップデートだと読み取れます。

Q&A

Q. iPadOS 26で一番大きな変更点は何ですか? アプリの自由なリサイズを可能にする本格的なウインドウシステムです。macOSのようにドックを画面下部に常時表示できる設定も追加され、Filesアプリと新しいPreviewアプリの組み合わせでファイル管理もMacとほぼ同等まで近づいたとされています。

Q. 軽作業中心のユーザーは今すぐ移行して良いですか? レビューが評価している進化点(ウインドウ管理、ドック常時表示、Filesアプリ、メニューバー、Apple Journal)はいずれもクラッシュやSafariの互換性問題に依存しない領域です。ハイエンドのヘビーユース時に出る不具合が中心に語られているため、軽〜中程度の用途であれば進化点の恩恵を受けやすい構造と読み取れます。

Q. iPad ProはMacの代替として本当に使えますか? レビュー筆者はiPad Proをフルタイムのコンピュータとして使い続けていますが、M5・16GB RAMでもアプリのクラッシュが頻発し、Slide Overの仕様後退、Safariの互換性問題が残ると指摘しています。コメント欄でも外部ディスプレイ接続時の体験の弱さやクラムシェル非対応が挙げられており、「あと一歩」の段階だと評されています。

Q. Slide Overは元通り使えるようになりましたか? iPadOS 26.1で機能自体は復活していますが、複数のアプリを同時にSlide Overに保持する機能はまだ戻っていません。この点でiPadOS 18より体験が劣るとされています。

出典