閉じている時はディスプレイが完全に隠れる——Samsungがそんな"引き出して使う"スマホの新たな特許を出願したと、Android Authorityが報じています。普段はディスプレイがどこにも見えない金属塊のような本体を、両端から手で引っ張ると内部から画面がスライドして現れる。そんな映像的にも刺激的なコンセプトが、特許には2案含まれています。ただし現時点では特許出願の段階にとどまっており、商用製品化される可能性は低いとされています。

出願された2つのアイデア

報じられている特許には、ロール式スクリーンを搭載したスマートフォンの2つのコンセプトが含まれています。

  1. スライド式ディスプレイ案:通常のスマートフォンの見た目でありながら、画面を引っ張ることで横幅が広がるというものです。展開後の形状や具体的な比較対象機種など、詳細は出典元を参照してください。
  2. 両端展開式の隠しディスプレイ案:本体が2つのパーツで構成され、閉じた状態ではディスプレイが完全に隠れる構造です。両端を引っ張ると内部からディスプレイがスライドして現れる仕組みとされています。設計目的の詳細については出典元を参照してください。

2つ目のアイデアは特に独創的で、「手で引っ張るまではスマートフォンとして機能しない端末」というコンセプトに踏み込んでいる点が注目されます。

広げた量に応じて表示が変わる——センサー内蔵の可変ディスプレイ

特許の説明によれば、デバイスにはディスプレイがどれだけ展開されたか、どの程度の速度で引き出されたか、その他の詳細を検知するセンサーが内蔵されるとされています。これは単に画面サイズを変えるだけの仕組みではなく、引き出し量や速度といった情報を端末側が把握できる前提になっている点が、従来の単純な画面拡張ギミックと一線を画す部分です。具体的なUI挙動については現時点では明らかにされておらず、詳細は出典元を参照してください。

ロール式画面のスマートフォンというコンセプト自体は目新しいものではなく、MWCやCESといった展示会で過去にも度々登場してきました。Samsung自身もスライドアウト式のコンセプト端末を公開してきた経緯があります。今回の特許は、その延長線上にあるものといえます。

買えるのはいつ?——"特許段階"という現実

重要なのは、これが特許出願の段階にとどまっている点です。企業は最終的に製品化されないアイデアについても日常的に特許を出願しており、今回の特許が見つかったからといって、Samsungがロール式ディスプレイ搭載スマートフォンを実際に開発中であることを意味するわけではないと指摘されています。

Samsungは折りたたみスマートフォンを市場に投入した最初期の主要メーカーの1社で、初代Galaxy Foldは順風満帆とはいきませんでしたが、その後Galaxy Z FoldとGalaxy Z Flipシリーズが大きな成功を収めました。「折りたたみの次は何か」という問いに対して、Samsungはロール式という選択肢を依然として模索していると伝えられています。

読者にとっての注目ポイント——フォルダブルとロール式は何が違うのか

折りたたみ式は「折り目」を中心に画面が分かれる構造ですが、今回のロール式は「引き出し量」によってシームレスに画面サイズが変化する点が本質的な違いです。さらに2つ目のアイデアは、閉じている時にはディスプレイが一切見えないという、フォルダブルにもないアプローチを採用しています。

現時点では特許情報のみで、製品化のスケジュール・スペック・価格に関する情報は一切公表されていません。リーク段階の情報として、Samsungがフォルダブル以降の次世代フォームファクタを依然として真剣に検討しているシグナルとして受け止めるのが妥当でしょう。続報が出るまで、過度な期待は控えて様子を見るのが現実的です。

MWC 2026で公開された「Mobile Slidable」——具体スペックが明らかに

2026年3月にバルセロナで開催されたMWC 2026で、Samsung Displayは「Mobile Slidable」と呼ばれるコンセプトを展示し、5.1インチから6.7インチへと画面が拡張する仕組みを披露しました。特許段階のアイデアとは別に、ディスプレイ部門が実機プロトタイプを公の場に持ち出した点が注目されています。

項目仕様
収納時画面5.1インチ
展開時画面6.7インチ
解像度(展開時)1,080 x 2,640 FHD+
画素密度426 ppi
アスペクト比16:9 → 22:9

完全に展開した状態では1,080 x 2,640のFHD+解像度で426 ppiとなり、アスペクト比は16:9から22:9へと縦長方向に変化します。Samsung Displayはこの技術を「under development(開発中)」と表現するにとどまり、商用化の時期や可否は明らかにされていません。なお2022年に披露された「Flex Slidable」は上下両方向に展開するプロトタイプでしたが製品化には至っておらず、コンセプト発表から量産までには依然として距離があると見られています。

LG Rollable分解動画が突きつけるロール式の現実

2026年4月、ロール式の量産難易度を改めて浮き彫りにする出来事がありました。

JerryRigEverythingがLG Rollableを分解した動画で、ベイパーウェアと化したこの端末が実際にどう動作していたかを示した。LG RollableはCES 2021で発表され、6.8インチから7.4インチに拡張するOLEDディスプレイを搭載していた。

内部構造は3本のスプリング式アームがディスプレイを均一に保ち、デュアルモーターがレール沿いに駆動する仕組みでした。分解レビューの結論として、クールなデバイスではあるものの複雑かつ壊れやすく、量産には経済的合理性がなかった可能性が高いと指摘されています。OppoやTCLからもロール式コンセプトは発表されているものの、消費者の手に届いた例はまだありません。Samsungの特許やプロトタイプも同じ「展示と製品化の溝」に直面しており、ロール機構そのものの耐久性とコストが越えるべき技術的な壁として残っています。

Q&A

Q. Samsungのロール式スマートフォンはいつ発売されますか? 現時点では特許出願の段階にとどまっており、発売時期・価格・スペックは公表されていません。特許出願が必ずしも製品化につながるわけではない点に留意が必要です。

Q. 普通の折りたたみスマホと何が違うのですか? 折りたたみ式は折り目を境に画面が二分される構造である一方、今回のロール式は引き出し量に応じてシームレスに画面サイズが変わる仕組みです。さらに2つ目の案では、閉じた状態でディスプレイが本体内に完全に格納される点もフォルダブルにはない特徴とされています。

Q. ロール式スマホは過去にも発表されていますか? MWCやCESといった展示会で複数のメーカーがコンセプトを公開してきており、Samsung自身もスライドアウト式のコンセプト端末を披露した経緯があります。ただし、量産モデルとして主要メーカーから市場投入された例はまだ限定的です。

出典