欧州スマホ市場の潮目が変わりつつあります。Omdiaの集計では、2026年第1四半期の欧州出荷は前年比2%増の3,300万台と健闘した一方、平均販売価格(ASP)は過去最高の€580(約9万8千円)まで上昇し、通年では-12%の出荷減が見込まれています。日本市場とは異なる「価格上昇と数量減が同時進行する欧州」の構図は、Galaxy S26やiPhone 17など新フラッグシップのグローバル戦略を読むうえでも示唆に富む内容です。
Q1 2026は前年比2%増の3,300万台——Samsungが首位を奪還
GSMArenaが伝えたOmdiaの集計では、ロシアを除く欧州での2026年第1四半期出荷は3,300万台で、前年同期比2%の伸びを記録しました。トップシェアはSamsungで、1,260万台・前年同期比3%増となり、Appleから首位の座を取り戻しています。
ただしSamsungの出荷はやや弱含みでした。フラッグシップであるGalaxy S26・S26+・S26 Ultraの投入が例年より遅れたほか、Galaxy A57とA37も発売延期となっています。一方で、エントリー帯のGalaxy A16 4Gはかなりの人気を集めたとされています。
Xiaomi -15%の一方、Honor +60%急伸——欧州中位グループの地殻変動
Appleは880万台・前年同期比8.8%増を記録しつつも、ピークが第4四半期に来る製品サイクルの影響で2位に後退しました。けん引役はiPhone 17、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxの新モデル群で、加えて廉価帯のiPhone 15とiPhone 16eが中価格帯を下支えしたとOmdiaは伝えています。
その他の主要ブランドの動きは以下の通りです。
- Xiaomi: 450万台・前年同期比15%減と苦戦。ただしフラッグシップのXiaomi 17 / 17 Ultraと、プレミアム帯のXiaomi 15T / 15T Proが過去最高水準の需要を集めたとされています。
- Motorola: 190万台・前年同期比17%増。スペインとポルトガルでの伸びが成長を支えました。
- Oppo: 130万台・前年同期比9%増。フランス、ルーマニア、ポーランドでシェアを拡大しています。
- Honor: 前年同期比60%増と急伸し、Oppoにほぼ並ぶ水準まで迫ったとされています。
主要メーカーの出荷台数と前年比をまとめると以下の通りです。
| メーカー | 出荷台数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| Samsung | 1,260万台 | +3% |
| Apple | 880万台 | +8.8% |
| Xiaomi | 450万台 | -15% |
| Motorola | 190万台 | +17% |
| Oppo | 130万台 | +9% |
| Honor | (非公表) | +60% |
Honorのキャッチアップはとくに目を引く動きで、欧州ではOppoの背中をとらえる位置まで来ています。
ASPは過去最高€580へ——€200未満の機種が出荷比25%まで縮小
平均販売価格(ASP)は2026年第1四半期に€580(約9万8千円)と過去最高水準に達しました。Omdia首席アナリストのRunar Bjorhovde氏は、その要因として「€200(約3万4千円)未満の端末の供給が減少し、出荷全体に占める比率が過去最低の25%にまで落ち込んだことが主因だ」と述べたと伝えられています。
| 指標 | 2026年Q1の数値 |
|---|---|
| 欧州出荷台数(ロシア除く) | 3,300万台 |
| 前年同期比 | +2% |
| 平均販売価格(ASP) | €580(約9万8千円) |
| €200(約3万4千円)未満の機種比率 | 25%(過去最低) |
通年では12%減の予測——下落の大部分は下半期に集中
Q1が想定より好調だったにもかかわらず、Omdiaは2026年通年では12%の出荷減となる可能性を予測しており、下落のほとんどは下半期に集中するとの見方を示しています。年初は持ちこたえたものの、下半期にどこまで落ち込むかが市場全体の趨勢を決める構図です。
日本の読者にとって押さえておきたいのは、欧州市場で進行している「価格上昇と数量減の同時進行」という潮流です。Samsung・Appleがいつ新フラッグシップを欧州に投入するか、Honor・Xiaomiといった中華勢が€200未満の供給空白をどう突くかが、下半期の数字を左右する観測ポイントになります。
メモリ部品高騰が下半期を直撃——Q1好調の裏で進む「在庫前倒し」
Q1の2%増という数字の裏側には、サプライサイドの構造的な歪みが潜んでいます。メモリ部品のボトルネックが急速に悪化しており、チャネルパートナーがコスト上昇に備えて在庫を前倒し確保した結果、Q1の出荷数が押し上げられた側面が大きい構図です。実需だけでは説明しきれない先回り発注が、目先の数字に上乗せされた格好になっています。
メモリコスト直撃を受けやすいメーカー
Xiaomiは出荷の半分以上がサブ200ドル(約3万4千円)帯に集中しているため、メモリコスト高騰によるマージン圧縮の影響を不均衡に受けやすい立ち位置にあります。Omdiaはベンダーの戦略焦点が「量から価値」へとシフトしており、通常は大衆市場を主戦場としていた多くのプレーヤーが、中〜高価格帯への集中を強めていると指摘しています。低価格帯でのコスト転嫁と数量維持のどちらを優先するかが、各社の分水嶺になっていきます。
Galaxy S26は3月11日発売・128GB廃止——OPPOはrealme/OnePlus統合で欧州再編
Q1出荷を抑えた要因のひとつだったGalaxy S26シリーズの遅延について、その後の経緯が明らかになっています。Galaxy S26 UltraはUnpackedイベントで2026年2月25日に発表され、3月11日に正式発売されました。注目すべきは構成面の変更で、Samsungはラインアップ全体から128GBストレージ構成を撤廃し、エントリーモデルが256GBから始まる形に切り替えています。最低容量の底上げが進んだ格好です。
中位グループでも構造変化が進行しています。
- OPPOはrealmeとOnePlusを傘下に統合したうえで欧州事業を再編しており、ポートフォリオの最適化と競争力強化を進めています
- Honorは価格帯を下方向に拡張するポートフォリオ戦略を採用し、60%超の成長を実現しています
低価格帯から撤退するメーカーが増えるなか、Honorが空白を埋める動きを強めている構図が鮮明になっています。
Q&A
Q. なぜSamsungは首位を取り戻せたのですか? Omdiaによれば、Samsungは1,260万台・前年同期比3%増で首位に返り咲きました。Galaxy S26シリーズやGalaxy A57・A37の投入が遅れる中、エントリー帯のGalaxy A16 4Gが想定以上に売れたことが寄与したとされています。一方Appleは製品サイクルのピークが第4四半期に偏るため、Q1では2位に後退しました。
Q. 欧州の平均販売価格(ASP)はなぜ過去最高になったのですか? Omdiaのアナリストは、€200(約3万4千円)未満の低価格端末の供給が減り、出荷全体に占める比率が過去最低の25%まで落ち込んだことが主因だと説明しています。結果としてASPが€580(約9万8千円)へと押し上げられた形です。
Q. 通年で12%減という予測は確定なのですか? いいえ、Omdiaによる予測値であり、確定ではありません。下落のほとんどは2026年下半期に発生する見通しと報告されており、メーカーの新モデル投入動向によって変動する可能性があります。