AppleはWWDC26で、賛否を呼んだ新デザイン言語「Liquid Glass」に5つの大きな刷新を加えると発表しました。目玉は、透過の強さを「ultra clear」から「fully tinted」まで自由に調整できる新スライダーと、macOSでアプリ間の角丸が開発者対応なしに自動で統一される改修です。可読性に悩んでいたユーザーが、自分の好みに合わせて見え方を決められるようになります。Cult of Macが現地時間2026年6月9日に報じました。

透過が強すぎる問題、Appleが正面から認める

昨年のWWDCで導入された統一デザイン言語Liquid Glassは、透過効果やガラス調の表現で視覚的なインパクトを与えた一方、可読性の低さやデザインの不整合をめぐって即座に批判を受けました。

Appleのヒューマンインターフェースデザインディレクターを務めるShubham Kedia氏は基調講演で、今年のOSに向けて「Liquid Glassの構築基盤そのものを更新した」と語っています。

「昨年、私たちはこれまでで最も野心的なクロスプラットフォームのデザイン更新としてLiquid Glassを導入しました。大規模なデザイン更新には常にあるように、大胆な一歩を踏み出した後、改良を重ねていく自然なプロセスがあります」(Kedia氏)

最初の開発者向けベータはすでに配布されており、初期の反応はおおむね好意的だと伝えられています。

iOS 27/macOS 27で変わる5つのポイント

今回のアップデートで導入される変更点は以下の5つです。

  1. 角丸(コーナーラディウス)の統一: macOS 26ではアプリ間で角丸の半径がバラバラだという指摘が多く寄せられていました。macOS 27ではすべてのアプリで角丸が統一され、しかも開発者側の対応は不要です。サードパーティアプリにも自動的に適用されるため、アプリを切り替えるたびに目に入っていた細かな違和感が解消に向かいます。
  2. サイドバーの刷新とカラーアイコンの復活: 3つのOSすべてで、サイドバーがウィンドウの端まで広がり、よりクリーンな外観になります。さらにサイドバーアイコンのカラー表示が復活しますが、これはアクティブなアプリに限定されます。複数アプリを並行操作するときに「今どのアプリを触っているか」が一目で判断でき、誤操作や視線移動のロスを減らせます。
  3. Liquid Glassの強度を調整するスライダー: 以前から噂されていた調整機能がついに搭載されます。設定アプリ内の新しいスライダーで「ultra clear(超透明)」から「fully tinted(完全に色付き)」まで自由に調整可能です。背景透過で文字が読みづらかったロック画面や通知、コントロールセンターなどを、自分の見やすさに合わせて整えられます。
  4. アプリアイコンへのLiquid Glass層追加: アイコンのアートワーク自体に追加のLiquid Glass層を統合。レイヤー間の屈折により、アイコンがよりシャープで明確に見えるとKedia氏は説明しています。ホーム画面上でアイコンを判別しやすくなり、目的のアプリへ素早くたどり着けます。
  5. macOS 27での統一ツールバー復活: アプリ上部に磨りガラス調(frosted look)の統一ツールバーが戻ります。ツールバー領域が背景コンテンツから視覚的に切り離されるため、ボタン位置の把握が容易になり、長時間の作業でも視線の負担が軽くなります。

「透過が強すぎる問題、ついに自分で調整可能に」

特に注目されるのが3つ目の調整スライダーです。Kedia氏は基調講演で次のように述べています。

「好みは人それぞれなので、設定にLiquid Glassを調整する新しいスライダーを追加しました。ultra clearからfully tintedまで、お好みに設定できます。アプリ全体にわたる体験をパーソナライズする全く新しい方法です」

透明感のあるルックを好むユーザーはスライダーを「Clear」側に、可読性を重視するユーザーは「Tinted」側に振ることで、コントラストが上がり文字が読みやすくなります。透過UIの強さに不満を感じていたユーザーにとっては、ようやく救済策が用意された形です。

開発者対応ゼロで広がる新デザイン——その狙いとは

Appleによれば、これらのデザイン改善の大半は、すでにLiquid Glassフレームワークを採用しているアプリには自動的に適用されます。開発者側の追加作業を抑えつつ、新デザインを一気に行き渡らせる設計になっていると読めます。ユーザーから見れば、お気に入りのサードパーティ製アプリも、開発元の対応を待たずに新しい見た目へ移行することになります。

現時点では開発者向けベータの段階であり、一般ユーザーが手元のデバイスで体験できるのはもう少し先になる見込みです。透過UIの初期版に違和感を持っていた方にとっては、正式版を待つ価値のあるアップデートと言えそうです。

検索ボタンがタブバー復帰、開発者は再設計を迫られる

ナビゲーション面でも見逃せない変更が入っています。iOS 26では検索ボタンが画面下部右側に分離配置されていましたが、iOS 27ではタブバーに再統合され、他のナビゲーションタブと一体化します。

  • 影響を受けるアプリにはMusic、TV、Podcasts、News、Healthが挙げられています
  • 変更はナビゲーション層で行われるため、サードパーティ製アプリにも広く波及します
  • iOS 26仕様に合わせて独自のフローティング検索ボタンやカスタムタブバーを実装した開発者は、iOS 27ベータで再検証が必要とされています

さらに、UIKitのUIGlassEffectとSwiftUIの.glassEffect()は混在環境で視覚的に自動同期しないため、両フレームワークを併用する大規模アプリではGlassEffectContainer境界の監査が推奨されています。BloombergのMark Gurman氏は、今回の刷新はLiquid Glassの撤回ではなく「影・透過・不透明度の調整」による実装の磨き込みだと報じており、デザイン言語の方向性自体は維持されています。

配布スケジュールと対応機種——一般ユーザーが触れるのはいつか

開発者ベータは現地時間2026年6月8日に配布が始まっており、一般ユーザー向けのロードマップも見えてきました。

段階時期
開発者ベータ2026年6月8日(配布開始)
パブリックベータ2026年7月中旬頃
正式リリース2026年9月中(9月14日が有力)

対応機種はiPhone 11以降が見込まれており、iOS 26をサポートしていたiPhoneはそのままiOS 27にも移行できる見通しです。一方で、すべての新機能が全機種で使えるわけではない点には注意が必要です。Apple Intelligenceの新しいSiriボイスなど一部の生成AI機能は、iPhone 17 Pro以降の比較的新しいSoCを搭載した端末でのみ利用可能とされています。透過スライダーや角丸統一といったデザイン面の刷新は広く行き渡る一方、AI領域では機種差が継続する構図になっています。

Q&A

Q. 調整スライダーは、具体的にどんな場面で恩恵がありますか? 明るい壁紙の上で通知文字が読みにくい、コントロールセンターのラベルが背景に溶けて見えるといった「透過が強すぎて読みにくい」場面で効果を発揮します。Tinted寄りに振ればコントラストが上がり、屋外や明るい場所での視認性が改善します。

Q. 既に使っているサードパーティ製アプリの見た目は、いつ変わりますか? 角丸統一などはmacOS 27にアップデートした時点で自動的に反映されるとされています。一方、アイコンへのLiquid Glass層追加など、アプリ側のアセット更新を伴う変化は各開発元の対応次第になります。

Q. サイドバーのカラーアイコンはすべてのアプリで表示されますか? いいえ。色付きで表示されるのは、現在アクティブなアプリのアイコンのみに限定されます。

出典