Adobe Lightroomのような高価な写真編集ソフトに頼らなくても、iPhoneのPhotosアプリだけで写真の仕上げが完結する——Cult of MacのD. Griffin Jones氏は、PCも追加機材も不要でいきなり仕上げまで持っていける組み込みツールとして、以下の8つを紹介しています。本稿ではそのラインナップを日本語で整理します。

あとから傾き・歪みをまっすぐに——撮り直し不要のクロップ系2機能

① Crop(アスペクト比トリミング)

最初は Crop ツールです。Photosアプリの Edit から開き、2本指のピンチで縦横比を保ったまま画角を調整したり、辺・角をドラッグして自由にトリミングできます。プリセットの Aspect Ratio には Original / Square / Wallpaper / 5:7 / 3:5 などが用意され、Instagram投稿や印刷用のサイズに合わせやすい設計です。左上の Flip で水平反転、 Rotate で回転も可能。端に映り込んだ余計な被写体や、グループ写真の見切れた腕などを後から切り落とせます。

② Straighten/Vertical/Horizontal(パースペクティブ補正)

同じCropツール内の Straighten スライダーは傾き補正、 VerticalHorizontal は遠近の歪みを直すパースペクティブ補正に対応します。急いで撮って斜めになった写真や、見上げ・見下ろしで歪んだ被写体を後から整えられます。撮り直しが効かない一発勝負のシーンでも構図をリカバリーできるのが利点です。

暗い室内写真を一気にSNS映えに——色と明るさを仕上げる中核機能

③ Adjust(露出からビネットまで15項目)

3つ目は Adjust タブによる調整です。露出(exposure)、ブリリアンス、ハイライト、シャドウ、コントラスト、明るさ、ブラックポイント、彩度、自然な彩度(vibrance)、暖かみ、色合い、シャープネス、ディフィニション、ノイズリダクション、ビネット——合計15項目のスライダーを個別にいじれます。

先頭の Auto を押せば全スライダーが自動調整され、ワンタップでひと通りの仕上げが完了します。暗くくすんでいた室内写真がSNS向けの明るい仕上がりに整ったり、逆光で沈んでいた被写体が見やすく持ち上がったりと、まずAutoから始めて気になる項目だけ微調整する流れが効率的です。Jones氏は、Autoのあと追加調整をしないことも多いが、アート寄りの写真ではビネットを控えめに足すことがあると紹介しています。

④ Live Photo編集(ベストショットの差し替え)

見逃せないのが Live Photo の編集です。 Live ツールで時間軸のスクラバーをドラッグし、好みの瞬間を選んで Make Key Photo をタップすれば、シャッターを切るタイミングが少しずれた写真でもベストショットに差し替えられます。スクラバーの両端を内側に詰めれば、Live Photoに含まれる短い動画のトリミングも可能で、目を閉じた瞬間や笑顔の手前を選び直すだけで歩留まりが上がります。

iPhoneならではのプロ表現——被写界深度とスタイルを後から仕込む

⑤ ポートレートモード後編集(背景ボケと焦点)

5つ目はポートレートモードの後編集です。スライダーで被写界深度(背景ボケの強さ)を変えたり、写真をタップしてピント位置を変更したり、左上の Lighting からポートレートライティングを切り替えたりできます。被写体と背景の関係を撮影後に作り込めるのがポイントです。

⑥ Photographic Styles(色と質感のプリセット)

6つ目は Photographic Styles です。スタイルを選択したうえで、名前の下のカラーパッドを上下左右にドラッグして明るさ・コントラスト・色合い・彩度を微調整できます。Jones氏は、単に色を上書きするフィルターよりはるかに強力な仕組みだと評価しています。

不要物を消し、編集を全カットへ——仕上げと一括反映の2機能

⑦ Clean Up(不要物の消し込み)

7つ目の Clean Up は、消し込みツールです。Photosが消去候補をハイライト表示するのでタップするだけで除去でき、指でなぞって範囲指定することも可能。商品写真からホコリや髪の毛を取り除く用途で常用しているとJones氏は紹介しており、フリマアプリ用の物撮りやポートレートの肌補正でも効果を発揮します。

⑧ Copy Edits / Paste Edits(編集の一括反映)

最後に紹介したいのが Copy Edits / Paste Edits による一括反映です。Photosのグリッドで編集済み写真を長押しして Copy Edits を選び、適用したい項目を絞り込んでから複数枚をまとめて選択して Paste Edits を実行すれば、同じシリーズの写真に対して仕上げ作業を繰り返す手間を省けます。連写や同一シーンを大量に撮るスタイルの撮影で効きます。

本稿で紹介した8つの編集ツール(一覧)

  1. Crop — アスペクト比トリミング・反転・回転
  2. Straighten/Vertical/Horizontal — 傾きとパースペクティブ補正
  3. Adjust — 露出・ビネット等15項目のスライダー調整
  4. Live Photo編集 — ベストショットの差し替えと動画トリミング
  5. ポートレートモード後編集 — 被写界深度・焦点・ライティング調整
  6. Photographic Styles — 色と質感のプリセット適用
  7. Clean Up — 不要物の消し込み
  8. Copy Edits / Paste Edits — 編集内容の一括反映

なお、いずれの機能もApple純正のPhotosアプリの範囲内で完結するため、追加アプリの導入や月額課金は不要です。各機能の対応機種・利用条件の詳細は出典元を参照してください。

iOS 26で再設計されたPhotosアプリ——編集機能の外側で進む変化

2025年に登場したiOS 26では、Photosアプリ全体が大きく刷新されています。アップルは画面下部にタブバーを復活させ、カメラロール全体を表示する Library と、アルバム・思い出・人物・ペット・共有コンテンツなどをまとめた Collections を別タブに分離しました。Collectionsはピン留めや並び替えに対応し、表示サイズも3種類から選べます。

  • Spatial Scenes: 被写体と背景を分離し、端末を傾けると奥行きが動く3D表現。ライブラリにある過去の写真にも適用可能です
  • Loopツール: Markup内に追加された円形ハイライトで、サイズ・倍率・色を調整しながら細部を強調できます
  • イベント自動認識: コンサートやスポーツ観戦の写真をまとめ、セットリストや出演者、会場、関連プレイリストを提示します
  • Liquid Glassデザイン: タブバーや上部ナビゲーションが透過し、背後の写真が透けて見える表現に統一されています

Clean Upを使うための条件——対応機種・iOSバージョン・地域制限

Apple IntelligenceによるClean Upは、すべてのiPhoneで動作するわけではありません。アップルのサポート文書では、利用条件として対応ハードウェアと地域要件が明示されています。

項目要件
対応iPhoneiPhone 16シリーズ全機種、iPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Max
対応iPadA17 ProまたはM1以降
対応MacM1以降
必須OS(多くの地域)iOS 18.4/iPadOS 18.4/macOS Sequoia 15.1以降

地域制限も設けられており、中国本土で購入された端末ではClean Upは動作しません。対応端末を中国本土外で購入していても、Apple Accountの国・地域設定が中国本土で、かつ滞在地も中国本土の場合は機能が利用できないとされています。出張や旅行で同地域に渡る際の挙動に影響するため、事前確認が必要です。

Q&A

Q. 編集した写真は元の状態に戻せますか? 編集画面で元の状態に戻せるかどうかの詳細は、出典元を参照してください。Photosアプリの編集はオリジナル画像を保持したまま行われる設計のため、Autoや各種スライダーを気軽に試しやすい仕様となっています。

Q. Photographic Stylesとフィルターはどう違うのですか? Jones氏は、Photographic Stylesは単に色を上書きするフィルターよりはるかに強力だと説明しています。シーンに応じた仕上げに使える点が特徴とされています。

Q. 編集した内容を他の写真にもまとめて適用できますか? できます。編集済み写真を長押しして Copy Edits を実行し、適用したい項目を選んだうえで、グリッドから複数枚を選択して Paste Edits をタップすれば、同じ調整内容を一括反映できます。連写や同一シーンの撮影で活躍します。

出典