Appleが2017年にWorkflowを買収し、2018年に「Shortcuts」としてiOSへ統合してから約9年。ながらく“上級者専用ツール”と見られてきた自動化アプリが、2026年6月開催見込みのWWDCで大きく姿を変える可能性が浮上しました。Bloombergの報道によれば、テスト中の新バージョンでは「やりたいことを言葉で説明するだけ」でショートカットを自動生成できる仕様になっているとされています。たとえば、これまで作成を諦めていたユーザーが「毎朝7時に天気と今日の予定を読み上げて」と書くだけで自動化が完成する──そんな体験が現実味を帯びてきました。

「何をさせたい?」と聞かれて答えるだけ──新Shortcutsの仕組み

Bloombergによると、テスト中のShortcutsには「What do you want your shortcut to do?(あなたのショートカットに何をさせたいですか?)」と問いかけるプロンプトとテキスト入力欄が新たに用意されています。ユーザーは平易な言葉で実現したい結果を記述するだけで、システムが自動でショートカットを構築し、デバイスにインストールする仕組みです。

現状のShortcutsは、アプリ内で手動でアクションを組み合わせるか、Apple公式のギャラリーから配布済みのショートカットをダウンロードする以外に方法がありません。新機能はこの構築プロセスそのものをAIに肩代わりさせる形になります。なお、9to5Macは同報道を取り上げた論考の中で、入力欄に音声(voice)でも記述できる可能性に言及しており、テキストを長文で打ち込むことなく自動化を作れる未来像を示しています。ただしこれはBloombergの一次報道に含まれる情報ではなく、9to5Mac筆者による補足である点に留意が必要です。

9年越しの“あるべき姿”へ──Workflow買収から続いた道のり

Shortcutsの源流は、Appleが2017年に買収したWorkflowにあります。2018年にOS標準アプリとして統合されて以降、macOSのAutomatorの複雑さを抽象化しつつ、アプリ間連携の強力さを保つツールとして高く評価されてきました。

  • ただし実情として、その真価を引き出せていたのはプログラミングに馴染みのある一部の上級ユーザーに限られていた
  • 今回のAI機能は、Shortcutsを「自分で組み立てる創作ツール」から、アプリ・ファイル・情報を各ユーザー専用に橋渡しするソリューション拠点へと位置づけ直す転換点になり得る
  • スティーブ・ジョブズ氏が1997年のWWDCで述べた「カスタマーエクスペリエンスから始めて、技術にさかのぼっていかなければならない」という哲学を体現する例だと位置づけられている

AIがユーザーの意図を解釈してショートカットを組み立てる発想は、技術スキルを持たないユーザーにも自動化のメリットを開く第一歩になり得ます。

上級ユーザーにも恩恵──「天井」がさらに上がる

ライト層への門戸開放だけが今回のアップデートの意義ではありません。Shortcutsを既に使いこなしている層にとっても「天井がさらに高くなる」点が注目されています。AIが構築の手間を担うことで、これまでとは異なる規模・複雑さのワークフローに取り組みやすくなる余地が広がります。

ただし、現時点で出ている情報はテスト版に関する報道に限られ、Apple公式の発表ではありません。実装の精度・対応プラットフォーム・提供開始時期の詳細は明らかになっていません。「うまく実装されれば」という条件付きの評価である点には注意が必要です。続報を追うなら、2026年6月開催見込みのWWDC 2026基調講演が最初の重要なチェックポイントになります。発表内容を確認したうえで、自分の使い方にどう取り入れるかを検討するのが良いでしょう。

土台はすでにiOS 26から──「Use Model」アクションが切り拓いた地ならし

今回のAI自動生成機能は突如登場したわけではなく、iOS 26で導入されたShortcutsのAI連携が下地になっています。「Use Model」アクションはApple IntelligenceをShortcuts内で呼び出すステップで、On-Device、Private Cloud Compute、ChatGPTの3通りの処理方法から選択でき、On-Deviceは高速かつプライベートに動作する一方、Private Cloud Computeはより大きなタスクに対応します。

iOS 26時点で使える主なIntelligent Actions

  • Writing Toolsや画像生成をShortcutsから呼び出せるIntelligent Actions
  • 「Morning Summary」「Action Items From Meeting Notes」「Summarize PDF」など、ギャラリーに用意されたプリセット
  • macOSでは時刻やファイル保存などイベントをトリガーにしたパーソナルオートメーション

つまりユーザーは既に「AIをワークフローの一部品として組み込む」段階に到達しており、新テスト版はその構築工程自体をAIに任せる次の一歩と位置づけられます。

WWDC 2026を取り巻く文脈──Siri 2.0・Gemini提携・ハード要件

新Shortcutsが披露される見込みのWWDC 2026は、Apple全体のAI戦略の節目になると見られています。開発者会議は6月8〜12日に開催され、基調講演は太平洋時間6月8日午前10時に始まります。注目はShortcutsだけにとどまりません。

項目予想されている内容
Siri「Siri 2.0」と呼ばれる長く延期されてきた刷新が予想され、チャットボットに近い見た目と自然な対話が想定
AIモデル基盤Googleとの複数年提携でGeminiモデルを基盤に採用し、オンデバイスまたはPrivate Cloud Compute上で動作する見込み
対応デバイスiOS 27の新Apple Intelligence機能はiPhone 15 Pro以降が必要となる見込みで、OS自体はiPhone 12まで対応すると報じられている

特にハードウェアによるAI機能の制限は、新Shortcuts機能を誰が実際に使えるかを左右する重要な論点になりそうです。

Q&A

Q. Shortcutsの新機能はいつ発表される見込みですか? 記事公開時点は2026年5月で、翌月のWWDC(WWDC 2026)での披露が想定されています。Apple公式アナウンスはまだ行われていません。

Q. AI生成の精度はどの程度なのですか? 現時点ではテスト版に関する報道にとどまり、生成精度の具体的な評価は公表されていません。実際の挙動はWWDCでのデモや公開後の検証を待つ必要があります。

Q. AI生成は音声でも使えますか? 9to5Macが同報道を取り上げた論考では「voice(音声)でも記述できる」可能性に触れられていますが、これはBloombergの一次報道ではなく9to5Mac筆者による補足であり、現時点では正式仕様として確定していません。

Q. どんなアプリが連携対象になりますか? 公開情報の範囲では、対応アプリの具体的なリストや日本語含む多言語対応の可否は明らかにされていません。詳細は出典元を参照してください。

出典