長らく下落基調にあった米国の無線通信業界の顧客満足度が、ついに反転したと報じられています。米国の調査機関ACSI(American Customer Satisfaction Index)の2026年最新調査で、業界スコアが過去最高水準に到達したとAndroid Authorityが伝えています。ハードウェア面でもSamsungがスマートフォン部門で首位を維持する一方、Wearable部門ではこれまで先行していたSamsungが下落し、横ばいだったAppleと同水準に並んだとされる地殻変動も併せて報じられています。

業界平均は過去最高水準

Android Authorityによると、プリペイドとポストペイドを合わせた業界平均スコアは77となり、前回からおよそ3%の改善が確認されたと報じられています。執筆者であるAndrew Grush氏は、業界の顧客満足度が過去最高水準に到達したことは意外性のある結果だと指摘していると伝えられています。

改善幅は事業者形態によって異なります。フルサービスプリペイドは77でおよそ4%の上昇、バリュー系プリペイドブランドは79でおよそ4%の上昇と、MVNO・プリペイド勢の伸びが大きい一方、モバイルネットワーク大手の伸びはおよそ1%にとどまったと報じられています。日本の格安SIM市場と単純比較はできませんが、米国でも大手以外の選択肢に満足度面で勢いが見られる点は把握しておいて損はないでしょう。

大手3キャリアではT-Mobileが先行

モバイルネットワーク大手3社のスコアは以下の通りで、T-Mobileがわずかにリードする構図と伝えられています。

  • T-Mobile: 78/100
  • AT&T: 76/100
  • Verizon: 76/100

3社とも改善は確認されたものの、伸び幅はおよそ1%にとどまり、MVNO勢のおよそ4%増と比べると小さい結果と報じられています。

スマホはSamsungが81で首位、Appleは80に低下

ハードウェア側でも変化が報じられています。スマートフォン部門ではSamsungが81のスコアで首位に立ち、これは前年と同水準とされています。

注目すべきはAppleの動向で、前回はSamsungと同点だったものの、今回は80に低下し首位の座から外れたと伝えられています。さらに、GoogleとMotorolaがいずれもおよそ3%上昇し、ともに77のスコアを獲得したとされています。中位帯ブランドが上位帯に肉薄しつつある点は、米国スマートフォン市場の競争環境を考えるうえで見逃せません。

スマートウォッチはSamsungが下落しAppleと80でタイ、Fitbitが大幅上昇

スマートウォッチ市場ではより大きな変動が起きていると報じられています。Apple Watchは80で変化なし、Samsungは80でおよそ4%下落して横ばいのAppleと同水準まで下がり、Google Fitbitは78でおよそ8%という調査内で最大級の上昇、Garminは76、Google Pixel Watchは74と伝えられています。

これまで先行していたSamsungが下落して横ばいのAppleと並んだ形であり、Appleが追いつかれたというよりはSamsungが落ちて並ばれた構図といえます。Google Fitbitの大幅上昇は今回の調査のなかでも目を引く動きです。一方、Google Pixel Watchの74は今回比較対象とされたブランドのなかで最も低いスコアとされており、同じGoogle系でもFitbitとPixel Watchで対照的な結果になっている点は注目に値します。

MVNO躍進と二大ブランド構図の変化——今回の調査が示す傾向

ACSIのスコアは個別の購入判断を直接左右するものではないものの、各ブランドが「向かっている方向」を把握する材料としては有用です。今回の調査からは、米国市場でMVNO・バリュー系プリペイドが満足度面で大手を上回って伸びていること、スマートフォンではSamsungの優位とAppleのわずかな後退、Wearableではこれまで先行してきたSamsungが下落して横ばいのAppleと並ぶ構図の変化、Fitbitの大幅伸長といった傾向が見えてくると伝えられています。

Fitbit大幅上昇の背景——スクリーンレス新モデル「Fitbit Air」の登場

ACSI調査でGoogle Fitbitが大きく順位を伸ばした背景には、2026年に登場した新モデルの存在があると考えられます。

Fitbit Airの主なスペック

Googleは2026年5月7日にFitbit Airを発表し、同月26日に米国で価格99.99ドルで出荷を開始したと報じられています。スクリーンを持たない設計で、最大7日間のバッテリー寿命に加え、SpO2、連続心拍、HRV、睡眠ステージ、心房細動(AFib)のリズム警告にも対応しています。

さらにPremium会員向けにはAI搭載のコーチが提供され、天気・回復状況・目標に応じてワークアウトを提案する機能も用意されています。スクリーンレスかつ低価格帯という割り切った設計と幅広い健康指標のカバーが満足度の伸びと符合する形で、ハードウェア刷新がスコア改善の追い風になっていると見ることができます。

ACSIスコア停滞の構造的背景——MVNO躍進の裏で続く「潜在的離反」

今回の業界スコア改善は朗報である一方、ACSIは長期的な構造問題を継続して指摘しています。

ACSI創設者Claes Fornell氏は、乗り換えコストの上昇と競争の減少を背景に「潜在的な顧客離反(pent-up customer defection)」と呼ばれるチャーンが蓄積していると警鐘を鳴らしています。

2025年第4四半期の全米ACSIスコアは76.9で、2017年以降ほぼ横ばいの停滞が続いてきたと報じられています。前回(2025年版)調査ではAT&Tがコール品質で6%、ネットワーク機能で8%下落と大手内で最大の落ち込みを記録していた経緯もあり、今回の反転の持続性は注視が必要です。

注目すべき周辺動向として、ISP分野で通信キャリアが躍進している点が挙げられます。非ファイバー型インターネットカテゴリではT-Mobile 5GとVerizon 5Gが好調で、ケーブル事業者から顧客を奪う形で成長していると報じられています。携帯回線で築いた信頼が家庭用ネット回線にも波及している格好です。

Q&A

Q. ACSIのスコアは何点満点ですか? 100点満点での評価です。今回の業界平均77は過去最高水準とされ、前回比でおよそ3%の改善と報じられています。

Q. MVNOやバリュー系プリペイドが大手より伸びている要因は何ですか? 詳細な要因については現時点で明らかにされている範囲を超える説明は控えます。詳細は出典元を参照してください。

Q. 日本のキャリアやブランドは対象に含まれていますか? ACSIは米国の調査機関で、対象は米国市場の事業者・ブランドです。日本のキャリアは今回の調査対象には含まれていません。

出典