iOS 26.5で追加されたRCSエンドツーエンド暗号化(E2EE)トグルが、iOS 27の初回開発者ベータから姿を消したと報じられています。iOS 27の開発者向けbeta 1をインストールしたユーザーから、RCSのE2EEの切り替えオプションが見当たらないとの指摘が出ています。9to5Macは2026年6月9日付の記事で、これはApple側の機能廃止ではなく、メジャーバージョン分岐に伴う一時的な事象である可能性が高いと報じています。

iOS 27 beta 1でRCSのE2EE設定が消えている

9to5Macによると、iOS 27 beta 1ではRCSのE2EEを切り替えるオプションが画面上から消失しています。同記事はこの挙動について、Appleが機能を取りやめたわけではなく、内部ビルドのブランチング(分岐)に伴うものである可能性がほぼ確実だと伝えています。

新しいメジャーバージョンは、26.x系の最新の修正がすべてマージされる前のタイミングで内部ビルドから派生させるのが通例です。そのため、すでに出荷済みの機能が初回ベータから一時的に抜け落ち、数ビルド後に再登場することは珍しくないとされています。不安定なビルドで暗号化トグルが半端な状態で出荷されるよりは、いったん外した方が安全という判断とも読めます。

緑のバブルでも鍵マークが付く時代へ — RCS E2EEの仕組み

iMessageで送信されるメッセージは常時E2EEが適用されますが、iPhoneとAndroid間でやり取りされるRCS(緑のバブル)は従来、転送中に平文で読まれ得る状態でした。

この状況は、Apple・Google・GSMAの協業によって変わりました。AppleはiOS 26.5でMessagesアプリにRCSのE2EE対応を追加し、最新のiOS 26環境では初期状態で有効化されています。ただし実際に会話が暗号化されるかどうかは、自分と相手の双方のキャリアがRCS E2EEに対応しているかに依存します。条件を満たす会話では、画面上部に鍵アイコンと「Encrypted」のラベルが表示されます。

開発者ベータ利用者が取るべき対応

9to5Macは、RCSの暗号化が重要なユーザーにはiOS 26.5に留まることを推奨しています。iOS 27 beta 1にすでにアップグレードしている場合でも、トグルが消えていることをロールバック(機能廃止)と捉える必要はなく、後続ビルドで戻ってくる見込みだと報じています。

なお、当該トグル消失について報告したArin Waichulis氏は、自身のX投稿でビルド内のスクリーンショットを添えて挙動を共有しており、現時点では「Appleが廃止した」と判断するのは早計です。安定版での挙動を確認するまでは、E2EEを重視する環境では慎重に様子を見るのが妥当な対応と考えられます。

iOS 27 beta 1に同梱されたMessages周りの新機能

iOS 27はWWDC 2026の基調講演(2026年6月8日)と同時に開発者向けbeta 1が配信され、正式リリースは2026年9月、対応端末はiPhone 11以降とされています。E2EEトグルの消失が話題になる一方で、Messagesアプリ自体には複数の新機能が追加されています。

  • Drawingオプション: スケッチや図表を描いてそのまま送信できる入力モードが新設されました。
  • キーボード設定の細分化: 音声録音ボタンとディクテーションボタンの表示可否を、それぞれ個別に選べる設定項目が追加されています。
  • インテリジェント候補: 会話の文脈に応じてリマインダー作成などを提案するUIが用意されています。

暗号化トグルの不在に注目が集まりがちですが、入力体験そのものを底上げする変更が同じビルドに同居しており、Messagesアプリ全体としてはむしろ機能拡張のフェーズにあると整理できます。トグル復活の有無と合わせて、後続ビルドでこれら新機能の挙動がどう磨かれるかも併せて追う価値があります。

RCS E2EEを支える業界標準と他社の歩調

iPhoneとAndroidをまたぐRCSのE2EEは、GSMAが2026年4月23日に公開したRCS Universal Profile 3.0で初めて標準化されたものです。暗号化方式にはMessaging Layer Security(MLS)が採用され、AppleとGoogleはこれを受けてiOS 26.5とGoogle Messagesでクロスプラットフォームの暗号化RCSを2026年5月にベータ展開開始しています。

項目内容
標準化団体GSMA
仕様公開日2026年4月23日
暗号化方式MLS(Messaging Layer Security)
ベータ展開開始2026年5月(Apple/Google)

Google MessagesはRCS会話で従来と同じ鍵アイコンを表示し、暗号化をデフォルトで有効化する方針を取っています。EFFはAndroidとiPhone間のRCS E2EE実現を「Victory」と評する一方、暗号化対象はメッセージ本文やファイル等にとどまり、メタデータは引き続き収集・保存される可能性があると指摘されています。iOS 27 beta 1でのトグル消失は、この業界標準の歩みそのものを止めるものではないと読み取れます。

Q&A

Q. iOS 27 beta 1にアップデートするとRCSのE2EEは完全に失われるのですか? 9to5Macは、機能そのものが廃止されたわけではなく、メジャーバージョン分岐に伴ってトグルが一時的に表示されなくなった可能性が高いと報じています。後続ビルドで復活する見込みです。

Q. 相手がAndroidユーザーの場合、現在の挙動はどうなりますか? iPhone↔Android間のRCSがE2EEで保護されるには、双方のキャリアがRCS E2EEに対応している必要があります。条件を満たす会話では、画面上部に鍵アイコンと「Encrypted」のラベルが表示される仕組みですが、iOS 27 beta 1側でトグルが見えない現状では、暗号化状態の確認が難しいケースが想定されます。

出典