iPhoneがヘッドホンジャックを廃止して以来、有線イヤホン・ヘッドホン派は変換アダプタや別売DACを携帯する不便を強いられてきました。そんな有線オーディオ派に向けた興味深い製品が登場します。Fosi AudioはMagSafeでiPhone背面に貼り付くポータブルDAC兼ヘッドホンアンプ「MD3 MagDac」を発表し、5月25日の発売を予定しています。価格は約150ドル(約2万3千円)が見込まれています。
MagSafeで貼り付くDAC、背面には1.28インチLCD
MD3 MagDacは、iPhoneの背面にマグネットで装着して使うポータブルDAC兼ヘッドホンアンプです。最大の特徴は背面に搭載された1.28インチのLCDで、写真表示にも対応するものの、主な役割は100段階のボリュームコントロールです。
100段階という細かいステップは、たとえば胸ポケットや鞄に装着したまま画面を一瞥して音量を微調整するといった使い方を想定しやすく、据え置き型アンプに近い細やかさをモバイル環境に持ち込めます。9to5Macは、ハードウェアの見た目も悪くないと記しています。
カラーは2色展開で、Fosi Audioの有線イヤホンと合わせやすい配色になっています。
- Galaxy(シルバー)
- Obsidian(ブラック)
3.5mm/4.4mmバランス両対応、USB-CでMacやiPadでも使える
オーディオ出力は2系統を備えており、用途に応じて使い分けが可能です。
| 出力 | 用途 |
|---|---|
| 3.5mm シングルエンド | 一般的な有線イヤホン・ヘッドホン |
| 4.4mm バランス | バランス接続対応のハイエンドヘッドホン |
ヘッドホンジャックを搭載していた時代のiPhoneと比べても、3.5mmと4.4mmバランス出力の両対応は明確な強化点です。さらにUSB-Cポートを備えており、使いながら本体を充電できます。
加えて、本体はあくまでUSB-C接続のDAC/ヘッドホンアンプとしても機能するため、MacBookやiPadなど他のUSB-C機器でもそのまま利用できます。iPhone専用の周辺機器に留まらず、Appleエコシステム全体で使い回せる点は実用上のメリットです。
ワイヤレス全盛の中で「あえての有線」を選ぶ価値
ワイヤレスイヤホンの利便性は確かに大きく、これに正面から張り合うのは容易ではありません。それでも、有線オーディオにこだわるユーザーにとってMD3 MagDacは魅力的な選択肢となります。
Fosi Audioは従来からよりオーソドックスなiPhone向けDACを手がけており、MagSafeやディスプレイが不要であれば、同社からはより安価な既存モデルも用意されています。今回のMD3 MagDacは、そこにMagSafe対応とディスプレイ機能を加えた構成です。
発売は5月25日が予定されており、価格は約150ドルが想定されています。iPhoneに有線環境を本格的に構築したいユーザーは検討の価値があります。価格・スペックともに最終確定情報は発売直前のアナウンスを待つのが妥当でしょう。
中身を支えるDACチップとアンプ回路——50gのボディに収まるHi-Fi設計
MD3 MagDacの音質を支えているのは、フラッグシップ級のDAC構成です。心臓部にはESS ES9039Q2M DACが採用されており、116dBのSN比と約0.00075%という低THD+Nを実現しています。増幅段は4基のES9603ヘッドホンアンプによる真のバランス回路で構成されています。
出力面では、3.5mmと4.4mmで性能差が明確です。
| 出力端子 | 出力パワー(32Ω) |
|---|---|
| 3.5mm シングルエンド | 約75mW/ch |
| 4.4mm バランス | 約180mW/ch |
この数値はFosi公式のデータシートに基づくものです。全金属筐体ながら重量は50g、サイズは70×45×12mmと、ポータブルDAC/アンプとしては極めて小型に収まっています。16個のN52磁石とPCBの間にはアルミ合金製のアイソレーションプレートが挟まれ、磁気が音質に干渉しないよう配慮されています。
iPhone接続時の落とし穴と、競合DACに対するポジショニング
スペック上の魅力とは別に、iPhoneで使う際に知っておくべき制約があります。MD3自体は384kHz/32bit PCMやネイティブDSD256をサポートしていますが、iOSは外部USB DAC出力を44.1kHzまたは48kHzに固定するシステムミキサーを通すため、ハードウェアの上限には到達できません。384kHzやDSD256といったハイレゾ仕様の恩恵を最大限受けたい場合は、Mac側で接続する方が現実的です。
一方で実用面のメリットも明確です。
- 上部USB-Cポートに外部充電器を繋げば、下部ポート経由でiPhoneにも同時給電される「パススルー充電」に対応します
- MagSafe対応はiPhoneだけでなく、磁気充電を採用したPixel 10シリーズも対象で、Galaxy S26シリーズも対応が噂されています
価格的にも独自のポジションを占めます。149.99ドルのMD3は、399ドルのFiiO Q15や599ドルのiFi Audio xDSD Gryphonよりも大幅に安価です。大半のIEMや能率の高いコンシューマーヘッドホンであれば、32Ω時180mWは十分以上の駆動力です。
Q&A
Q. iPhone以外でも使えますか? はい。MD3 MagDacはUSB-C接続のDAC/ヘッドホンアンプとして動作するため、MacBookやiPadなどUSB-C対応機器でも利用できます。
Q. MagSafeなしの安価な選択肢はありますか? Fosi AudioはMagSafe対応とディスプレイを持たない、より安価な既存のDAC製品も販売しています。これらの機能が不要であればそちらが選択肢になります。
Q. 日本での発売や価格は決まっていますか? 日本市場での販売有無や日本円での価格について、現時点では公表されていません。米国向けの想定価格は約150ドルとされています。