Counterpoint Researchが公表した2026年Q1(第1四半期)のラテンアメリカ・スマートフォン出荷動向で、Appleが前年同期比8%増を記録したと9to5Macが報じています。市場全体の伸びを上回るペースですが、同じ期間にHonorが75%急伸したことで、Appleは出荷シェア4位の座を明け渡す格好になりました。
Counterpointが示した2026年Q1の出荷ランキング
Counterpoint Researchによれば、ラテンアメリカのスマートフォン市場全体は前年同期比2%増にとどまった一方、メーカー別シェアと出荷増減は以下のように分布しています。なお、シェアと出荷増減率は別指標であり、シェア値と増減率の数値が偶然近い値になっているケースがある点にご留意ください。
| 順位 | メーカー | シェア | 前年比出荷増減 |
|---|---|---|---|
| 1 | Samsung | 31% | -3% |
| 2 | Motorola | 19% | +8% |
| 3 | Xiaomi | 15% | -5% |
| 4 | Honor | 10% | +75% |
| 5 | Apple | 8% | +8% |
| - | その他メーカー全体 | 17%(シェア) | -16%(出荷増減) |
「その他メーカー全体」の行は、上位5社以外のメーカー合計でシェアが17%、出荷量は前年同期比で16%減少していることを示しています。Appleの出荷量自体は前年同期比8%増と健闘していますが、Honorのシェアが前年の6%から10%へ拡大したことで、4位の座をHonorに奪われた格好です。SamsungとXiaomiは出荷量自体が減少しており、市場全体の伸びはHonor・Motorola・Appleの3社が押し上げ役となった構図と読み取れます。
地域別の濃淡——メキシコ・ブラジルは縮小、周辺諸国が補う
Counterpointの記述では、ラテンアメリカ最大の市場であるメキシコとブラジルが縮小した一方、エクアドル・ペルー・ベネズエラで二桁成長を遂げ、アルゼンチン・コロンビア・中米・カリブ海地域でも需要が拡大したことで全体の落ち込みを補ったと説明されています。主要2市場が落ち込んだ中で全体が2%増を保ったのは、周辺市場の押し上げによる成果と言えそうです。
ちなみに数週間前にOmdiaが公表した別レポートでは、ラテンアメリカ市場全体の伸びは3%、Appleは前年同期比31%増・シェアは4%から5%へ拡大したと報告されていました。Omdiaは特にメキシコでの+80%という伸びと、iPhone 17シリーズの好反応を要因として挙げており、Counterpointの「8%増」とは数値の評価が分かれている点に注意が必要です。両社のレポートは集計手法や対象範囲が異なる可能性があり、Appleの実勢は「数値の幅をもって見るべき」状況と言えます。
$150〜$250帯がプレミアム化を牽引、Q2には値引き拡大の見込み
Counterpointは、ラテンアメリカ市場でも世界的なプレミアム化トレンドが続いていると指摘しています。具体的には、$150〜$250(約2万3千円〜3万8千円)の価格帯が前年同期比5%増となり、市場全体での構成比は29%に達したとのことです。中価格帯のセグメントが市場全体を押し上げる形で拡大していることがうかがえます。
今後については、Counterpointは「2026年Q1の出荷増加を受け、いくつかのブランドが2026年Q2に戦略モデル向けの値引きを投入する可能性が高い」との見通しを示しています。Q1の出荷増を踏まえ、Q2に各社が販売テコ入れに動く展開が予想される、という読みです。
読者への示唆——「Appleの伸び」は楽観できない局面
Appleにとって、ラテンアメリカは依然として5位のポジションにとどまり、Counterpointの数字ベースでは4位の座をHonorに譲った形になります。出荷自体は8%増えたものの、Honorの+75%という伸びと比べれば、シェア争いでは厳しい局面に入っていると判断するのが妥当です。Omdiaの+31%・Counterpointの+8%という評価のばらつきもあり、現時点では複数のレポートを併せて見たうえで動向を判断する必要があります。続報や次四半期のデータを待ちつつ、Q2に予想される各社の値引き競争がシェア構図にどう影響するか注目したいところです。
Honorのラテンアメリカ戦略——地域専用「Magic8 Lite」と1,000万台到達
HONORは2025年にラテンアメリカで累計1,000万台超の販売を達成したうえで、2026年第1四半期に地域専用仕様の「Magic8 Lite」を投入しています。欧州版とは異なり、ラテンアメリカ向けは8,300mAh級バッテリーを搭載し、重量193gと大型化されている点が差別化ポイントです。地域専用モデルを継続投入する方針を打ち出しており、量だけでなくモデル設計の面でも現地最適化を進めています。
Magic8 Liteの主な仕様
- SoC: Qualcomm Snapdragon 6 Gen 4
- ディスプレイ: 6.79インチOLED、1.5K解像度、120Hz
- メインカメラ: 108MP(OIS対応)
- 充電: 66W有線充電
- バッテリー: 8,300mAh(ラテンアメリカ版)
加えて2026年もQualcommやBYDといったグローバルパートナーとの連携を強化し、キャリア・小売・自社店舗網とアフターサービス拠点の拡充を進める計画です。Honorが+75%という急伸を実現した背景には、こうしたパートナー連携と販路拡張の積み重ねがあると考えられます。
Q1の出荷増を支えたメモリ不足対応の「在庫積み増し」
Counterpoint Researchは、2026年Q1にOEM各社が世界的なメモリ不足による値上げを見越して現行価格を確保するために発注を増やしたことが、ラテンアメリカ市場の出荷増を押し上げた一因と説明しています。純粋なエンドユーザー需要だけではなく、サプライチェーン側の事情が出荷数を押し上げた構図です。
| 指標 | 2026年見通し |
|---|---|
| スマートフォン平均販売価格 | 14%上昇し523ドル(IDC) |
| 世界出荷台数 | 12.9%減・11.2億台(IDC) |
| 端末カテゴリ全体の価格上昇率 | 10〜20%(IDC) |
DRAM価格は2025年初頭から約2倍に上昇しており、AI向けHBM需要がSamsung・SK Hynix・Micronの生産能力を圧迫していることが背景にあります。Q2に予想される「戦略モデル向け値引き」も、こうしたコスト圧力との綱引きで実施規模が左右されそうです。
Q&A
Q. CounterpointとOmdiaのレポートで、なぜAppleの数字がこれほど違うのですか? 両社の集計手法や対象範囲が異なるためと考えられます。Omdiaは前年同期比31%増・シェア4%→5%、Counterpointは8%増・シェア8%と報告しており、評価が分かれています。現時点ではどちらか一方を確定値として扱うのではなく、両者の幅で動向を把握するのが妥当です。なお、Counterpointの「8%増」はAppleの出荷量の前年同期比増減率であり、「シェア8%」は同四半期の出荷シェアを示すもので、たまたま同じ数値になっている点にご留意ください。
Q. Honorが4位に浮上したというのはどの程度のインパクトですか? Counterpointの数字では、Honorのシェアが前年の6%から10%へ拡大し、Appleの8%を上回って4位になっています。出荷量の伸びは前年同期比75%と突出しており、Samsung・Xiaomi・Appleがシェアを奪われる側に回った構図です。
出典
- 9to5Mac — Counterpoint: iPhone shipments grew 8% in Latin America during Q1
- Dinero (El Salvador) — HONOR reaches 10 million smartphones sold in Latin America and announces its first launches for 2026
- Counterpoint Research — LATAM Q1 2026 Smartphone Shipments Rise 2% YoY Driven by Aggressive Inventory Build