睡眠時無呼吸通知は世界150カ国以上、Apple Healthの各機能は160カ国以上の地域で提供——Appleがインドで、Apple Watchの睡眠時無呼吸通知(Sleep Apnea Notifications)とAirPods Proの聴覚テスト(Hearing Test)を新たに提供開始しました。日本ではまだ正式提供のアナウンスがない状況ですが、対応機種(Apple Watch Series 9以降/AirPods Pro 2・3)をすでに持っている読者にとっては、提供国の拡大ペースと判定基準の中身を押さえておく価値があります。本記事では、対象機種・利用条件・判定基準を整理します。

手首の微細な動きで無呼吸を検知——対応はSeries 9以降の5モデル

睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる症状を指し、睡眠の質を著しく低下させる疾患として知られています。Apple Watchは加速度センサーを用いて、不規則な呼吸パターンと関連する手首のわずかな動きを検出します。複数の夜にわたって異常が継続的に記録された場合に、睡眠時無呼吸の可能性をユーザーに通知する仕組みです。

対応機種は以下の5モデルに限定されています。

  • Apple Watch Series 9
  • Apple Watch Series 10
  • Apple Watch Series 11
  • Apple Watch Ultra 2
  • Apple Watch Ultra 3

初回の判定結果を得るには、複数の夜にわたって継続的に着用する必要があります。日々の呼吸の乱れに関するデータは、iPhoneのHealthアプリに記録されていきます。本機能はインドの追加によって、世界150カ国以上で利用可能になりました。

AirPods Pro 2/Pro 3で聴覚検査を再現——4周波数・5段階の判定基準

聴覚テストは、AirPods Pro 2またはAirPods Pro 3を、iOS 18.1以降のiPhoneまたはiPadOS 18.1以降のiPadに接続することで実施できます。医療機関やオーディオロジスト(聴覚専門士)での検査を模した内容で、左右の耳に異なる周波数・音量のトーンが再生され、音が聞こえたタイミングでiPhoneの画面をタップして反応します。

テストでは500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの4つの周波数が評価されます。判定基準は次のとおりです。

結果(dBHL)聴力レベルの目安
25 dBHL以下聴力低下はほぼ無し
26〜40 dBHL軽度の聴力低下
41〜60 dBHL中等度の聴力低下
61〜80 dBHL重度の聴力低下
80 dBHL超最重度の聴力低下

結果はオージオグラム(聴力図)とともにHealthアプリに保存され、医療機関と共有して相談に活用することも想定されています。

Apple Healthの各機能は160カ国以上で展開——日本での提供は未公表のまま

日本のユーザーにとって最も重要なポイントから先に述べると、睡眠時無呼吸通知・聴覚テストともに、日本での提供状況は現時点で公表されていません。

Appleのマーケティング担当上級副社長Greg Joswiak氏のX投稿によれば、Apple Healthの各機能は現在、世界160カ国以上の国・地域で提供されています。同氏の投稿では、Hearing Aid(補聴器)機能がイタリアで、高血圧通知(Hypertension Notifications)が台湾でそれぞれ展開されたことも示唆されています。

睡眠時無呼吸通知は世界150カ国以上、Apple Healthの各機能は160カ国以上の国・地域で提供されており、ヘルスケア領域の地域展開が着実に進んでいます。対象機種をすでに所有するユーザーは、Healthアプリ内の各機能の項目から、自身の地域での提供可否をチェックしてみてください。

30日サイクルの機械学習解析——アルゴリズム検証とPDFエクスポート

睡眠時無呼吸通知の判定ロジックには、機械学習による高度なデータ解析が組み込まれています。通知アルゴリズムは機械学習と臨床グレードの睡眠時無呼吸検査の大規模データセットを用いて開発・検証されており、消費者向けデバイスでありながら医療領域の知見が反映された設計となっています。

30日周期の解析と装着条件

Apple Watchは30日周期で呼吸障害データを分析し、中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候を検出した場合に通知を表示します。利用には30日間のうち最低10晩、就寝時にApple Watchを装着する必要があり、装着日数が不足すると判定結果が得られない仕組みです。蓄積された呼吸障害データはPDFレポートとしてエクスポートでき、医療機関と共有しながら診断や治療の次のステップを相談する用途が想定されています。

聴覚ヘルス機能群の世界展開——イタリア・チェコ・ルーマニアとカナダの対比

AirPods Proの聴覚関連機能は地域ごとの規制を強く受けるソフトウェア機能であり、提供国の拡大には明確なばらつきが見られます。

展開時期対象地域展開された機能
2026年3月フィリピン聴覚ヘルス機能群(100カ国以上に拡大)
2026年5月イタリア・ルーマニア・チェコHearing Aid
2026年5月イスラエル高血圧通知

Hearing Aidは知覚的な軽度〜中等度の難聴を対象として設計されており、対象地域の段階的な追加によりカバー範囲が広がっています。一方カナダでは、連邦承認を取得しているにもかかわらず州レベルのOTC補聴器販売制限により未提供のままで、ソフトウェアベース機能であってもジオフェンスの対象となります。WHO推計では世界約15億人が何らかの難聴を抱えるとされており、地域差の解消が継続的な課題として残されています。

Q&A

Q. 睡眠時無呼吸通知は古いApple Watchでも使えますか? 対応機種はApple Watch Series 9・Series 10・Series 11・Ultra 2・Ultra 3に限定されています。これらより前のモデルでは利用できません。

Q. 聴覚テストにはどのAirPodsが必要ですか? AirPods Pro 2またはAirPods Pro 3が必要です。接続側はiOS 18.1以降のiPhoneか、iPadOS 18.1以降のiPadである必要があります。

Q. 日本ではいつ使えるようになりますか? 現時点でAppleからの公式アナウンスはなく、提供時期は公表されていません。Apple Healthの各機能は段階的に各国へ拡大しており、Healthアプリの該当項目で自身の地域での提供可否を確認できます。

Q. 判定結果が出たらどうすればよいですか? 聴覚テストの結果は、オージオグラムを含むデータとしてHealthアプリに保存されます。公表された情報では、これらの結果を医療機関(healthcare provider)と共有することで、より深い相談に役立てることが想定されています。

Q. 医療機関での検査と何が違いますか? 聴覚テストは医療機関やオーディオロジストでの検査を模した内容とされています。一方で結果の活用方法としては、Healthアプリに保存したデータを医療機関と共有し、より具体的な相談につなげる使い方が想定されていると伝えられています。具体的な医療判断の位置づけについては、現時点では明らかにされていません。

出典