Appleが新たな「Privacy on iPhone」シリーズの最新作として、ブラウザ「Safari」のプライバシー機能を訴求する広告キャンペーンを開始したと、9to5Macが報じています。動画・複数都市での屋外広告(ビルボード)・デジタル広告を組み合わせた多面的な展開で、「データトラッカーを背中から追い払う」点を前面に打ち出すかたちです。広告が追いかけてくる、開いたタブをふと覗かれる——そうした日常の「気持ち悪さ」をどこまで減らせるのかが、読者目線での見どころになります。
肩越しに覗くトラッカー——ユーモラスに描く新CM
新CMは、Webを閲覧している間に「肩越しに覗き込む人々」というメタファーで、データトラッカーがユーザーの行動を密かに監視する様子をユーモラスに描いていると伝えられています。Appleはこの動画の締めくくりに「Safari. A browser that's actually private.(Safari。本当にプライベートなブラウザ)」というキャッチフレーズを置いています。
動画に加えて、Appleは複数の都市で屋外広告を展開し、デジタル広告でもSafariのプライバシー機能を訴求すると報じられています。今回のキャンペーンは、これまで継続してきた「Privacy on iPhone」シリーズの最新作にあたります。
標準機能で「追跡されない体験」を作る
9to5Macは、今回のキャンペーンで前面に押し出されているのは、Safariが標準で備えている複数のプライバシー機能だと伝えています。広告に追いかけ回される現象や、デバイスの特徴から自分が「特定」される事態を抑えるための仕組みが、デフォルトで動いている点がポイントです。9to5Macが挙げている主な機能は次のとおりです。
- ① Intelligent Tracking Prevention(インテリジェント・トラッキング防止):オンデバイスの機械学習を用いてトラッカーを遮断しつつ、Webサイトの通常動作は維持します。
- ② Privacy Report(プライバシーレポート):Safariがブロックしたクロスサイトトラッカーの一覧を、ツールバーやスタートページから確認できます。
- ③ フィンガープリント対策:デバイスやブラウザの構成、フォント、プラグインなどの組み合わせから個体を識別する「フィンガープリンティング」に対し、システム構成を簡略化した形で提示することで、より多くのデバイスが同じに見えるよう加工します。デフォルトで有効で、ユーザー側の追加操作は不要とされています。
- ④ 拡張機能の権限制御:拡張機能にアクセスを許可する範囲を「1日だけ」「現在のサイトだけ」「常に」から選べる仕組みで、入力内容や閲覧履歴が拡張機能経由で抜き取られるリスクを抑えます。
加えて、SafariのPrivate Browsingモードについても、後述のとおり他社ブラウザより踏み込んだ設計になっていると紹介されています。
プライベートブラウズはChromeより踏み込んだ設計
9to5Macは、SafariのプライベートブラウズはChromeなど他社の同種機能と比べて、より踏み込んだ設計になっていると伝えています。読者にとってのメリットを言い換えれば、「共有リンクから素性が漏れるリスク」と「他人にデバイスを渡したときに私的な履歴を見られるリスク」の両方を、ブラウザ側で同時に絞り込めるという点です。
具体的には、URL末尾に付与されるトラッキング用パラメータを除去するLink Tracking Protectionを備えており、外部から共有されたリンクを開く際にも追跡識別子を持ち込まれにくくなっています。さらに、プライベートタブ自体をFace ID/Touch IDによる生体認証でロックできるため、デバイスを他人に渡した場面でもプライベートな閲覧履歴が覗かれにくい構造です。
過去作の系譜——「Privacy」を一貫した訴求軸に
今回のSafariキャンペーンは、Appleがここ数年継続している「Privacy on iPhone」シリーズの延長線上に位置づけられます。9to5Macは過去作として、データブローカーや広告オークションを題材にしたものや、「Tracked」と題したユーモア寄りのCMなど、複数のバリエーションが公開されてきたと紹介しています。プライバシーを訴求軸として一貫して押し出してきた流れの中に、今回のSafari篇が連なるかたちと読めます。
キャンペーン名は「Clingers」——TBWA\Media Arts Labとの世界同時展開
新キャンペーンの正式名称は「Clingers(しがみつく者)」で、Appleの長年のパートナーであるTBWA\Media Arts Labが制作を手掛けたとCampaign Brief Asiaが報じています。ヒーロー映像では、メタリックなトラックスーツを着たトラッカーたちがWeb利用者にしつこく貼り付き、Safariがそれを退ける展開で構成されているとの説明です。
展開チャネルは屋外広告とデジタルにとどまらず、多面的な広がりを持っています。
- テレビCM
- 屋外広告(OOH)
- デジタルディスプレイ
- ソーシャルメディア
- 映画館(シネマ)
- YouTube
- Apple自社プラットフォーム
開始日は6月3日で、グローバル同時ロールアウトの形を取っています。Adweekは、不快感を伴うトラッカーの描写が「Chromeのストーカー」を想起させる演出になっていると報じており、Google Chromeとの対比を明確に意識した構成だと位置づけられています。
Safari 26で標準化されたフィンガープリンティング防御の中身
訴求の中核となるフィンガープリント対策は、iOS 26世代のSafari 26から全閲覧モードで既定オンとなった**Advanced Fingerprinting Protection(AFP)**だとStape.ioが伝えています。AFPは既知のフィンガープリンティング用スクリプトに対し、デバイス特性を漏らしうる複数のWeb APIへのアクセスを遮断する仕組みです。
| 保護対象API例 | 取得を抑える情報 |
|---|---|
| Screen Dimensions | 画面サイズ |
| Hardware Concurrency | CPUコア数 |
| SpeechSynthesis | 利用可能な音声一覧 |
| Apple Pay | Pay対応状況 |
| Web Audio readback | オーディオ読み出し情報 |
| 2D Canvas | 描画情報 |
設定パスは「Settings > Apps > Safari > Advanced > Advanced Tracking and Fingerprinting Protection」で、対象範囲として「All Browsing」を選ぶ手順がGadget Bridgeで示されています。さらにSlashGearによれば、iOS 26.3では携帯キャリアが基地局ネットワークから取得する位置情報の精度を下げる「Limit Precise Location」設定が追加されたとされています。
Q&A
Q. ChromeのシークレットモードとSafariのプライベートブラウズは、結局どこが違うのですか? 9to5Macは、SafariのPrivate BrowsingはChromeなど他社の同種機能より「より踏み込んだ(more advanced)」設計だと評しています。具体的にはURL末尾のトラッキング用パラメータを除去するLink Tracking Protectionや、プライベートタブ自体をFace ID/Touch IDでロックできる点がSafari側の特徴として挙げられています。
Q. 今回の広告で紹介されている機能は、どのように確認できますか? 9to5Macによれば、Privacy Reportは「Safariのツールバー」や「Safariのスタートページ」からアクセスできるとされています。拡張機能の権限制御については「1日だけ」「現在のサイトだけ」「常に」の3段階から選択できるとされており、それぞれの設定状況を見直すことで、今回訴求されている機能の内容を実際の挙動から確認できます。詳細は出典元を参照してください。