ADTが新たなDIY型ホームセキュリティサービス「ADT Blu」を発表しました。カメラ単体69ドル(約1万円)から導入でき、ADT Plusアプリで映像を確認できます。一方で、多くのスマートホームユーザーにとって致命的になり得る制約も伝えられています。
ADT Bluとは——既存のDIY製品との違い
ADT Bluは、同社の「ADT Plus」アプリと連携するフルDIY型のセキュリティサービスです。ユーザーは個別のカメラやセンサーを購入することも、コンプリートキットを購入することもでき、すべて自分自身で設置する仕組みになっています。
ADTは、既存のスタンドアロン型DIY製品が「シンプルさを優先してパフォーマンスを犠牲にしたり、柔軟性を優先して信頼性を犠牲にしたりすることが多い」点を問題視し、その妥協点を取り除くことを狙ったと説明しています。複数のパッケージプランから自分の欲しいデバイスを選び出す手間も省けるとされています。
価格構成——カメラ単体69ドル、フルキット249ドルから
ADT Bluは2つの導入経路を用意しているとされています。
- カメラのみの構成: ADT Bluカメラは$69(約1万円)から購入可能。映像を確認するには「Video Connect」プランの月額$9.99(約1,500円)への加入が必要とされています。
- ADT Blu Build My System: $249(約3万9千円)から。ベース機器、モーションセンサー1基、ドア・窓センサー3基がセットになっています。追加のカメラやセンサー、さらにGoogle Nest Hubもアドオンとして組み込めるとされています。こちらは「Self-Protect」プラン月額$14.99(約2,300円)、または「Pro-Protect」プラン月額$34.99(約5,400円)への加入が必要です。
フルキット版は、既存の「ADT Plus」ホームセキュリティシステムよりも$20(約3,100円)安く設定されているとされています。価格差が小さく見える一方で、ここに大きな「落とし穴(catch)」が潜んでいます。
落とし穴は「Nest非対応」
9to5Googleの報道によると、ADT BluはGoogle Nestとの連携に対応していないとされています。Android Authorityはこの報道を引用しつつ、すでにNestエコシステムを構築している家庭にとっては購入を躊躇させる重大なポイントになり得ると指摘しています。
さらに混乱を招くのは、アドオンとしてGoogle Nest HubやNest Learning Thermostatを追加できるとされる点です。デバイス自体は組み込めるにもかかわらず、Nestとの統合機能は使えないという矛盾した構成になっていると伝えられています。
ネーミングにも紛らわしさが残ります。ADTはかつて「Blue by ADT」というサービスを提供しており、名称が極めて似ているためです。公式サイトでは、Blue by ADT製品は今後マーケティングおよび販売を行わないと明記されている一方、すでに利用しているユーザーは引き続き通常通り使えるとされています。
拡張性と購入チャネル
ADT Bluは、少数のセンサーやカメラから始めて、時間をかけて拡張していく使い方を想定して設計されているとされています。ADT公式サイトとAmazonで購入可能と伝えられています。
Nestを中心にスマートホームを組んでいる場合は、Nest連携対応の有無を考慮した上で導入を検討すべき構成と言えます。柔軟なDIY拡張性を取るか、エコシステム統合を取るかの判断が問われる製品です。
ハードウェア構成とAI機能——Arlo酷似デザインと「ADT+」アプリの位置づけ
ADT Bluのハードウェア面では興味深い指摘が出ています。9to5Googleはサポートページから「Blu Doorbell Camera」や屋内・屋外カメラを発見し、それらがArloが販売するドアベル・屋外・屋内カメラのモデルと酷似しており、側面にADTのラベルが付いた構成になっているとレポートしています。同時にBlu専用のベースステーションやセンサーなどのバリアントも確認されています。
機能面では、ADT+アプリがシステム制御の中心となり、アーム・ディスアーム操作、アラート受信、ライブ映像視聴、AI駆動のビデオ機能利用、接続カメラを通じた双方向通話が可能とされています。なお、Nest連携の不可については正式に否定が出ています。
ADTは9to5Googleに対し、Nest統合は同社のADT+システム専用機能であり、ADT Bluではサポートされないと明言しています。
さらにバンドルパッケージは$249から$389のレンジで複数構成が提供されています。
Apollo撤退と決算好調——DIY参入が示すADTの戦略転換
ADT Bluの発表は、企業構造の大きな転換と同時期に行われています。2026年5月にADT BluをAmazonおよびADT.com経由で発売したのとあわせて、Apollo Global Managementの残る取締役代表が株主撤退に伴い辞任し、ADTは定款からApollo関連条項を削除しました。ADT BluによるDIY・契約不要モデルへの進出と、Apolloからの明確な離脱の組み合わせは、ADTが顧客に対する位置づけとガバナンスの両面で、より独立した企業として大きく舵を切ったことを示しています。
業績面でも追い風が吹いています。
- 2026年4月30日発表のQ1決算では、GAAP収益増加と力強いフリーキャッシュフローが評価され株価は5.02%上昇
- 2026年にはNewsweekから米国の最も信頼される企業の1社、およびカスタマーサービス部門のトップホームセキュリティ企業として認定
- ADT Bluは低価格・セルフモニタリング型の競合と戦うための中核施策であり、サブスクリプション中心の収益構造を再構築する可能性がある一方、DIY普及が従来のサブスク経済性を圧迫するリスクも指摘されています
Q&A
Q. ADT Bluはいくらから導入できますか? カメラ単体であれば$69(約1万円)から、ベース・モーションセンサー・ドア窓センサー3基がセットになった「ADT Blu Build My System」は$249(約3万9千円)からとされています。いずれも別途月額プラン($9.99〜$34.99)への加入が必要です。
Q. Google Nestと一緒に使えますか? 9to5Googleの報道によれば、ADT BluはNest統合に対応していないとされています。ただしアドオンとしてGoogle Nest HubやNest Learning Thermostatを構成に追加することは可能と伝えられており、機能面では矛盾した状態となっています。
Q. 既存の「Blue by ADT」とは別物ですか? 別物です。名称は酷似していますが、Blue by ADTの製品は今後マーケティング・販売を終了する一方、既存ユーザーは引き続き利用可能と案内されているとされています。新規導入はADT Bluに集約されます。