Appleが数ヶ月のベータテストを経てiOS 26.5を正式リリースしました。期待されていた新しいSiri機能はiOS 27まで持ち越されたものの、RCSのエンドツーエンド暗号化対応、EU圏での第三者ウェアラブル機能解放、Mapsの「おすすめスポット」追加、そして50を超える脆弱性修正など、押さえておきたい変更点がいくつもあります。
RCSのエンドツーエンド暗号化に対応——AndroidとのやりとりもiMessage並みの安全性へ
iOS 26.5の目玉のひとつが、iPhoneとAndroid間でやりとりするRCSメッセージへのエンドツーエンド暗号化(E2EE)対応です。これにより、Androidユーザーへ送るテキストメッセージも、iPhone同士のiMessageと同等のセキュリティで保護されるようになります。
ただし利用には条件があり、暗号化が有効になるのは送信側・受信側の双方が最新版RCSをサポートするキャリアを使っている場合に限られます。対応キャリアでの展開は段階的に進む見込みです。
- E2EEはデフォルトでオン
- 設定アプリの「メッセージ」セクションにトグルあり
- 暗号化されたメッセージには小さな鍵マークが表示される
EU圏で第三者ウェアラブルにApple Watch・AirPods相当の機能を開放
EUのデジタル市場法(DMA)への対応として、Appleはこれまで純正のApple WatchやAirPodsに限定してきた機能の一部を、第三者ウェアラブルにも開放します。対象となる主な機能は以下です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 近接ペアリング | 第三者イヤホンをiPhoneに近づけるとAirPods同様のワンタップでペアリング可能に |
| iPhone通知 | 第三者スマートウォッチ等で通知の閲覧・操作(リアクション)が可能に |
| ライブアクティビティ | iPhoneのライブアクティビティを第三者ウェアラブルに表示可能に |
通知の転送先は一度に1台のみで、第三者ウェアラブルへの通知をオンにするとApple Watchへの通知はオフになります。また、対象は第三者テレビ・スマートウォッチ・ヘッドフォンで、対応にはアクセサリーメーカー側の対応が必要なため、すぐには利用できない可能性があります。
そして重要な点として、この機能拡張はEU内に居住し、AppleアカウントのリージョンがEU圏に設定されているiPhoneユーザーに限定されます。日本のユーザーは現時点で対象外です。
Mapsに「おすすめスポット」追加、広告表示の下地も
最近の検索履歴や周辺のトレンドに基づき訪問先を推薦する「Suggested Places(おすすめスポット)」機能が追加されました。同時に、Mapsアプリ内に広告を表示するための下地も整えられていますが、広告は現時点で稼働していません。
新しい壁紙とiPhoneからAndroidへの移行設定
カラフルな「Pride Luminance」壁紙が追加され、複数のカラーオプションでカスタマイズできます。
また、iPhoneからAndroidへ乗り換える際、転送するメッセージ添付ファイルの範囲を選択する設定が追加されました。選択肢は「すべて」「1年」「30日」の3つで、移行時のデータ量や保管範囲を自分でコントロールできるようになります。
その他の小さな変更——Apple Books・キーボード
Apple Booksには年末のまとめ機能向けと見られる新しいアワードへの言及があり、キーボードにはイヌクティトゥット語(Inuktitut)レイアウトが追加されています。
50を超える脆弱性を修正——できるだけ早い更新が推奨
iOS 26.5は50を超える脆弱性に対応しています。今回修正された脆弱性のうち、実際に攻撃に悪用されていたことが確認されているものはありませんが、最新の保護を受けるためにも早めの更新が推奨されます。
期待のSiri刷新がiOS 27に持ち越された一方で、RCSのE2EE対応はAndroidユーザーと頻繁にやりとりする人にとっては地味ながら大きな進歩です。日本のユーザーにとってはEU向け機能の恩恵こそありませんが、セキュリティ修正の観点からも早めにアップデートを適用しておくべき更新と言えます。
RCS暗号化の技術的な土台——GSMA「Universal Profile 3.0」とMLSが支える
今回のE2EE対応は、Appleが独自に実装したものではなく業界標準に沿った仕組みです。AppleはGSM AssociationとともにRCSメッセージへのE2EE実装を進めており、E2EEはApple協力のもとで策定された「RCS Universal Profile 3.0」の一部として、Messaging Layer Security(MLS)プロトコル上に構築されています。
Universal Profile 3.0で広がる機能群
Universal Profile 3.0にはE2EEに加え、メッセージの編集・削除、クロスプラットフォームでのTapback対応、クロスプラットフォーム会話における特定メッセージへのインライン返信機能も含まれます。つまりE2EEはあくまで第一弾であり、今後iOSにこれらの機能が順次取り込まれる余地が残されています。
なおRCSのE2EEテストはiOS 26.4から始まりましたが正式投入は見送られ、iOS 26.5のベータを通じて検証された上で今回の展開に至っています。UI面ではiOS Messagesアプリの画面中央に「Text Message · RCS | [鍵アイコン] Encrypted」と表示される仕様です。
残るDMA対応スケジュール——2026年6月の期限と巨額の制裁リスク
iOS 26.5での第三者ウェアラブル解禁は、Appleに課されたDMA義務のごく一部にすぎません。欧州委員会が公開する相互運用性の仕様決定では、明確な期限が設定されています。
| 項目 | 期限 |
|---|---|
| 接続デバイス関連の全措置 | 2026年6月1日まで |
| 非接続デバイスを音声出力先として提示する機能 | 2027年6月1日まで |
| Wi-Fi Aware 5.0 | 仕様公開から最長9ヶ月以内の次期iOS |
非準拠時のリスクも極めて大きく、Appleには世界年間売上高の最大10%という潜在的制裁金が科され得ます。一方でAppleは2025年9月に欧州規制当局へDMAの撤廃を要請し、11月にはDMAが消費者の価格低下につながっていないとする委託調査を公表しています。また転送される通知やライブアクティビティは広告・プロファイリング・モデル学習・位置追跡に利用してはならず、認可された対象アクセサリー以外への転送や意味を実質的に変える改変も禁じられています。
Q&A
Q. iOS 26.5でSiriは新しくなりましたか? いいえ。期待されていたSiri関連の新機能はiOS 27まで持ち越されました。iOS 26.5にはSiriの大きな更新は含まれていません。
Q. RCSの暗号化はすべてのAndroidユーザーとのやりとりで有効になりますか? いいえ。送信側・受信側の双方が最新版RCSをサポートするキャリアを使っている場合のみ有効になります。対応キャリアでの展開は段階的に進む予定です。
Q. EU向けの第三者ウェアラブル機能は日本でも使えますか? 使えません。この機能拡張はEU内に居住し、AppleアカウントのリージョンがEU圏に設定されているiPhoneユーザーに限定されています。