Murenaが、Googleサービスを排除したAndroidフォーク「/e/OS」の最新版となる/e/OS 4.0を発表しました。目玉は、Gmail・Google Driveなどから「ワンクリック」でユーザーデータを移行できる仕組みです。これまで数日〜数週間かけて手作業で行っていた「メール移行 → 連絡先通知 → サブスク紐付け変更」の一連の棚卸しを一気通貫でこなせる設計で、Google生態系から距離を置きたいユーザーにとって乗り換えのハードルが一段下がる更新です。
“ワンクリック移行”でGoogle離脱の最大の壁を崩す
/e/OS 4.0の中核は、刷新されたGmail Migration Assistantです。Gmailメッセージに加え、連絡先・カレンダー・Google Driveのファイルをまとめて取り込み、新しいMurenaアドレスへの自動転送を設定し、連絡先にアドレス変更を通知するところまで一気通貫で行えます。
さらに、受信トレイの履歴をスキャンして、古いGoogleアカウントに紐づくサブスクリプション・銀行・各種オンラインサービスを洗い出し、ひとつずつ更新作業を案内する機能も備わっています。サブスクや会員サービスをGoogleアカウントに10件以上紐付けているユーザーほど、この自動棚卸し機能の恩恵は大きくなります。手動では見落としがちな「あの請求どこに来ていたっけ?」を機械的に潰せる点が実用上の価値です。
クラウドバックアップの“Google離れ”最後のピースが埋まる
新たに導入されたMurena Backupは、インストール済みアプリ・アプリ/システム設定・アカウント・メール・メディア・カレンダーをMurenaアカウント上のクラウドへバックアップするサービスです。Google製Android端末を使い続ける理由としてクラウドバックアップを挙げていたユーザーにとって、移行をためらわせていた最後のピースが埋まる形になります。
加えて、Murena Workspace向けにMurena MeetとMurena Signが用意されました。Murena Meetは自社インフラ上で動作するGoogle Meetの代替で、ミーティングのスケジューリングや画面共有に対応します。Murena SignはPDF・Word・ODTなどの文書に署名できるツールで、Murenaによると両機能は今後1カ月以内に/e/OS 4.0および/e/OS 4.1経由で提供開始される予定です。
Gigaset GS6/GS6 Proが/e/OSプリインで登場——脱Google層に響く構成
ハードウェア面では、ドイツのGigasetと協業した新型スマートフォン「GS6」「GS6 Pro」が/e/OSを搭載して登場します。主なスペックは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SoC | MediaTek Dimensity 7300 |
| ディスプレイ | 6.67インチ 120Hz OLED |
| RAM | 8GB |
| バッテリー | 着脱可能な5,300mAh |
| ワイヤレス充電 | 15W |
| SIM | eSIM対応 |
| 防水・防塵 | IP68 |
| カメラ | 64MP + 8MP + 2MP |
既に/e/OSを搭載しているFairphone Gen 6に、新たな選択肢が加わる形です。現代のフラッグシップ機が「バッテリー一体化・薄型化・自社修理プログラム頼み」の方向に揃いつつあるなか、着脱可能バッテリーを残したことは長期使用とユーザー側での修理性を重視する脱Google層の価値観に正面から応える設計です。15Wワイヤレス充電とIP68で日常の使い勝手も最新世代並みに揃えており、「思想優先で実用性は妥協」というニッチ機の定型から一歩抜けた構成といえます。
読者アンケートとGrapheneOSとの関係
記事中では「Googleサービスなしのスマホを買うか?」という読者投票が紹介されており、122票のうち86%が「Yes」、14%が「No」と回答しています。脱Google志向のユーザー層からは強い関心が示されている一方、母数が限定的な参考値であることには留意が必要です。
なお、/e/OS 4.0のリリースは、GrapheneOSチームがMurenaのセキュリティ面を批判してからしばらく経ったタイミングでの登場です。とはいえ、脱Googleを目指すうえで実用可能なAndroidフォークが複数存在している状況自体は、選択肢を広げる意味で歓迎すべき動きでしょう。
現時点では、Gmail移行アシスタントとMurena Backupの実運用品質が乗り換えの鍵を握ります。導入を検討するなら、まずは既存のFairphone Gen 6やGigaset GS6/GS6 Proなどの対応端末で、自身のメール・クラウド資産がどこまで滑らかに移せるかを見極めるのが現実的なステップになります。
2026年ロードマップで広がるMurenaエコシステム
/e/OS 4.0の先には、Murenaが2026年に向けて計画するエコシステム拡張があります。中心となるのが、2026年6月に提供開始予定の「Workspace V4」で、暗号化ビデオ会議(ベータ)と電子署名機能が組み込まれる見込みです。
- Murena Maps: Google Mapsの代替として開発中のオープンソースアプリで、ベータ提供後は/e/OSの既定マップアプリになる見通しです
- Elixirブラウザ: プライバシー重視のブラウザとしてLinux・macOS向けに開発が進み、Windows版も近く投入される予定です
- B2B/MDM強化: 既存のMobile Device Managementソフトウェアとの互換性を改善し、自社MDMを顧客企業に展開しています
OS本体側でも、/e/OS 4.0はAOSP 15をベースに、Fairphone 3やGalaxy S9/S9+の新規対応、2026年6月1日までのAndroidセキュリティパッチ適用が進められています。Chromeがブラックリストから外れて利用可能になり、自動入力機能が既定で有効化されるなど、日常的な使い勝手も底上げされています。
Gigaset GS6/GS6 Proの価格と「Made in Germany」という選択
Gigaset GS6シリーズは2025年11月に発表され、欧州では専門店とgigaset.com/gs6で販売されています。GS6 PROの希望小売価格は€449で、ストレージ256GBを搭載しています。標準モデルのGS6は128GBで、それ以外のコア仕様は共通です。
| モデル | ストレージ | 価格目安 |
|---|---|---|
| Gigaset GS6 | 128GB | 約344.95ドルから(Kimovil参考値) |
| Gigaset GS6 PRO | 256GB | €449(希望小売価格、Kimovil参考値で約618.52ドルから) |
両機ともドイツ国内でグリーン電力を用いて製造され、包装にはプラスチックフリー素材が採用されています。「Made in Germany」を掲げるGigasetのものづくり姿勢は、製造拠点や電力構成、梱包材といったハードウェアそのものの来歴をスペック表と同列に並べて検討するアプローチを取りやすくしています。SoCやディスプレイのスペックに加えて、どこで・どのように作られた端末かという情報がはっきり示されている点が、GS6シリーズを他のAndroid端末から差別化する要素になっています。
Q&A
Q. /e/OS 4.0で具体的に何ができるようになりましたか? Gmail Migration Assistantが刷新され、Gmail・連絡先・カレンダー・Google Driveのファイルを取り込み、新アドレスへの自動転送設定や連絡先への通知まで「ワンクリック」で行えるようになりました。加えて、アプリ・設定・メール・メディアをクラウド保存できるMurena Backupも追加されています。
Q. Gigaset GS6/GS6 Proはどのようなスペックですか? Dimensity 7300、6.67インチ120Hz OLED、8GB RAM、着脱可能な5,300mAhバッテリー、15Wワイヤレス充電、eSIM対応、IP68、64MP+8MP+2MPのカメラ構成です。/e/OSをプリインストールした状態で提供されます。
Q. Murena MeetとMurena Signはいつ使えますか? Murenaによると、今後1カ月以内に/e/OS 4.0および/e/OS 4.1経由で提供開始される予定です。Murena MeetはGoogle Meetの代替、Murena SignはPDF・Word・ODT文書への署名ツールという位置付けです。
出典
- Android Authority — /e/OS 4.0 is here: Murena’s Android fork makes it even easier to escape Google’s clutches
- Gaël Duval Blog — Joining the Wave: Murena & /e/OS 2026 Roadmap
- Cloud Communications — Gigaset introduces GS6 and GS6 PRO – 5G smartphones for everyday performance and reliability