Googleが披露した新しいAndroid XRグラスをめぐり、Androidエコシステム責任者のSameer Samat氏が、かつて市場から姿を消したGoogle Glassの失敗について率直に振り返りました。Android Authorityの報道によれば、同氏が強調したのは「ファッションがテクノロジーに優先する」という、ハードウェアを作る企業にとってはほろ苦い教訓です。秋に登場予定の音声中心モデルは早期採用向け、ディスプレイ搭載の本命「glazen」は来年へ持ち越しとされており、読者にとっては「今買うか、来年まで待つか」が判断の分かれ目になりそうです。
「ファッションが先、テクノロジーは次」——Samat氏が認めた敗因
Android Authorityの報道によれば、Samat氏はGoogle I/O開催の翌日、韓国のYonhap Newsを含むメディアの取材に応じ、Google Glassから学んだ最大の教訓を次のように語ったとされています。
多くを学びました。最も重要な学びは、ファッションが先で、テクノロジーは後だということです。
同氏はこの考え方の傍証として、Meta Ray-BanおよびOakleyのスマートグラスが市場で支持を集めている現状を挙げているとされ、技術的にはGoogleが提供すると見込まれる水準を必ずしも上回らないにもかかわらず、商業的には大きな成功を収めていると報じられています。具体的な販売台数の数値については現時点では明らかにされていません。
Meta Ray-Banが先行する市場でGoogleがアイウェアブランドと組む理由
Samat氏の発言は、新しい音声操作中心のAndroid XRグラスで、アイウェアブランドのWarby ParkerとGentle Monsterを起用した理由を裏付けるものだと位置付けられています。「センシビリティ(感性)と美しさ」がコンシューマーテック製品の販売に欠かせない要素だとSamat氏は指摘したとされ、これらが欠けると見込み客から拒絶されると伝えられています。
また、ファッションとテクノロジーを巧みに融合させる点で、Samsungが重要な役割を果たしたとの言及もあったと報じられています。一方で内部仕様の詳細は限定的で、現時点で公表されているのは両モデルともQualcommのSnapdragon ARプラットフォームで動作するという点にとどまるとされています。これら2モデルは今年秋ごろの発売が予定されていると伝えられています。
2013年の$1,500グラスから何が本質的に変わったか
要するに、初代Glassが「技術主導のガジェット」だったのに対し、新Android XRグラスは「ファッションブランド主導のアイウェア」へと立ち位置を反転させた点が最大の変化です。
Google Glassは2013年に登場しましたが、複数の要因によって期待された普及に至らなかったと指摘されています。当時はAndroidスマートフォン自体が現在ほど一般的ではなく、加えてGlassは「ユーザーの視線の先にもう1枚スクリーンを置く」以上の特別な体験を提供できなかったとされています。さらに価格は$1,500(約23万円)と高額で、もう少し手の届く価格であれば検討した可能性のある消費者にとっても厳しい設定だったと報じられています。Googleは2017年にエンタープライズ向けモデルを投入しましたが、こちらも同様の結末をたどったと伝えられています。
| 項目 | 初代Google Glass | Android XR グラス(新) |
|---|---|---|
| 発表時期 | 2013年 | 今回のGoogle I/O |
| パートナー | なし(自社デザイン) | Warby Parker / Gentle Monster |
| 価格 | $1,500(約23万円) | 未公表 |
| 中核となる体験 | 視線の先にスクリーン投影 | 音声操作中心、Geminiが主要機能を担う |
表のとおり、ハードウェアそのものより「誰と組み、どう見せるか」を最初に設計し直した点こそが、Samat氏の語る「ファッションが先」の実装といえます。
ディスプレイ搭載モデルは「来年まで」
新グラスではGeminiが多くの役割を担うことが示されたと伝えられています。今回のGoogle I/Oでは、スマートグラスがPixel Watchをはじめとした他デバイスと連携する構想にも触れられたとされ、Wear OS搭載の他社ウォッチへの対応も期待されていると報じられています。ディスプレイ付きモデルについては、Androidの専用バリアント「glazen」と呼ばれるバージョンを用意し、スマートフォンの処理を一部肩代わりさせる構想があると報じられていますが、こちらは来年まで登場しない見通しです。
リーク段階のスペックや出荷条件は確認されていない点が多いため、ディスプレイ搭載の本命を待つなら来年の「glazen」、音声中心の体験を早く試したいなら秋の2モデル、というのが現時点での判断軸といえそうです。価格・対応地域に関する続報を待ちましょう。
新グラスの操作方法と対応プラットフォーム——iPhoneユーザーも使える
Android XRと銘打たれていますが、対応範囲は意外と広いことが明らかになっています。
操作系と連携の要点
- 音声起動: 「Hey Google」と話しかけるか、フレームの側面をタップすることでGeminiに即座にアクセスできます
- タッチパッド: グラスのアーム部分に統合されたタッチパッドで、AIの起動や写真・動画の撮影をトリガーできる仕様です
- 処理の分担: スマートフォンの処理能力をBluetoothとWi-Fi経由で活用するコンパニオンデバイスとして設計されています
- アプリ連携: Uberで配車を頼むなど、音声でスマホ側のアプリを操作できる構成です
注目すべきは互換性で、グラスはAndroidとiOSの両方のスマートフォンとペアリング可能と明言されています。iPhoneユーザーも対象に含まれている点は、Android XRというブランド名から受ける印象とは異なる重要なポイントです。事前登録も既に始まっており、Warby ParkerとGentle Monsterは公式サイトに専用の「Intelligent Eyewear」ページを開設し、発売前のアップデート通知の事前登録を受け付けています。
競合Meta Ray-Banの販売実績と次世代モデルの動向
Googleが追いかける市場の規模は、2025年の販売実績で一気に可視化されました。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 2025年Meta AIグラス販売台数 | 700万台超 |
| 2023–2024年合計販売台数 | 約200万台 |
| Ray-Ban Meta Display価格 | 800ドル |
| 次世代モデル開発状況 | FCC申請済み |
EssilorLuxotticaは2025年にMeta AIグラスを700万台以上販売し、2023年と2024年の合計約200万台から3倍以上に伸ばしています。上位機種の800ドルのRay-Ban Meta Displayは、フルカラー高解像度ディスプレイとMeta Neural Bandを搭載しています。さらにEssilorLuxotticaはFCCに「Ray-Ban Meta Scriber」「Ray-Ban Meta Blazer」という次世代Ray-Banスマートグラスを申請済みで、Googleの秋発売を迎え撃つ準備が進んでいます。なおGoogleはGucciとも高級ファッション提携を結んでおり、Warby Parker・Gentle Monsterに続く第三の駒も控えている構図です。
Q&A
Q. Meta Ray-Banとの違いは何が決定的なのですか? 公開情報の範囲では、両者ともファッションブランドと組み音声中心の体験を打ち出す点で似ていますが、Googleは将来的にAndroidの専用バリアント「glazen」によるディスプレイ搭載モデルを準備し、スマートフォンと処理を分担させる構想があると伝えられています。今秋モデルは音声中心という点で重なる部分が大きい一方、ロードマップの厚みでは差別化を狙う構図だと読めます。
Q. 新しいAndroid XRグラスはいつ、どのような形で出ますか? 音声操作中心のモデル2機種が今年秋ごろに登場する予定で、Warby ParkerおよびGentle Monsterとの協業によりデザイン面を強化していると報じられています。両モデルともQualcommのSnapdragon ARプラットフォームで動作するとされています。
Q. ディスプレイ付きのスマートグラスは登場しますか? Googleはディスプレイ搭載モデル向けに「glazen」と呼ばれるAndroidの特別バージョンを準備していると伝えられていますが、登場は来年まで持ち越されるとされています。