パッシブ冷却のスマートフォンが、液体窒素で冷却したリファレンス機を上回る——本来であれば成立しないはずのこの逆転劇が、SamsungのフラッグシップSoC「Exynos 2600」をめぐって報じられています。Android Headlinesによると、Galaxy S26搭載とされるExynos 2600が、液体窒素で冷却したSnapdragon 8 Elite Gen 5搭載機を持続的な負荷ベンチマークで上回ったとされています。鍵を握るとされているのが、Galaxy S26向けに採用されたと報じられている新冷却機構「Heat Pass Block(HPB)」です。
パッシブ vs 液体窒素──成立しないはずの比較
Android Headlinesは、Galaxy S26に搭載されたとされるExynos 2600が、液体窒素で冷却したSnapdragon 8 Elite Gen 5搭載機を持続ワークロードで上回ったと報じています。
スマートフォン側はパッシブな構造、対する比較対象は極低温の窒素冷却という、本来であれば成立しない比較構図です。報道では、液体窒素は実験室での瞬間ピークには有効でも、実際のスマホ利用にはほぼ意味がないという趣旨で位置付けられており、勝負どころは短時間の最高スコアではなく、長時間負荷下でクロックをどこまで維持できるかにあるという見方が示されています。
新冷却機構「Heat Pass Block(HPB)」
今回の主役は、Samsung独自の冷却機構として報じられている「Heat Pass Block」、通称HPBです。Android Headlinesの報道では、従来のベイパーチャンバーや熱伝導グリスを介した放熱より速やかに熱を逃がす設計が採られているとされています。
多くのフラッグシップが基板側からの間接的な放熱に頼ってきたのに対し、HPBは内部温度がじわじわ上がる場面でクロック降下を抑える構造として紹介されています。具体的な構造の詳細については、詳細は出典元を参照してください。
Geekbench 6の実数──マルチコアで逆転、シングルコアは依然劣勢
Android Headlinesでは、Geekbench 6でのスコア比較も伝えられています。
| 項目 | Exynos 2600 | Snapdragon 8 Elite Gen 5 |
|---|---|---|
| マルチコア | 10,444 | 10,207 |
| シングルコア | 3,105 | 3,588 |
マルチコアではExynos 2600が10,444、Snapdragon 8 Elite Gen 5が10,207と、その差はおよそ237ポイント(約2.3%)と報じられています。一方シングルコアではSnapdragon 8 Elite Gen 5が3,588、Exynos 2600が3,105と、約483ポイント(約13.5%)の差でSnapdragon側が先行しているとされています。Exynos 2600は10コア構成を活かしマルチコアで逆転したという扱いです。ただし強調されているのは「サスティン領域でスコアが崩れにくい」点であり、瞬間値そのものより、その値をどこまで維持できるかという冷却設計の議論が本質だという見方が示されています。
一発のベンチスコアではなく、連続負荷下での平均クロックでこそ差が出る、というのが今回の報道のポイントとして整理されています。HPBによる持続クロック維持の恩恵がどのような場面で顕在化するかは、今後の実機検証を待つ必要があります。
搭載地域の制約
ここで読者にとって重要なのが、搭載対象が地域限定だという点です。Exynos 2600とHPBの組み合わせは、欧州・韓国・インドなどの市場でベースのGalaxy S26およびGalaxy S26+に限定されると伝えられています。
一方、Galaxy S26 Ultraは引き続き全世界でSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載する構成となる見込みで、米国市場ではそもそもExynos 2600モデル自体が提供されない構図とされています。SamsungのSoCチームが冷却設計まで含めて何をどこまで実現できるのかを体感したいユーザーにとっては、やや歯がゆい配分といえます。
報道段階の情報ではあるものの、Galaxy S26への買い替えを検討しているのであれば、Snapdragon版とExynos版の体感差は「ピーク性能」よりも「長時間負荷でのクロック維持」で出る可能性があると報じられているのが現時点での見立てです。続報を待ちましょう。
Exynos 2600のアーキテクチャ──2nm GAAと10コア構成の中身
HPBによる持続性能の話題と並行して、Exynos 2600そのもののアーキテクチャ刷新も注目を集めています。Samsungが発表したExynos 2600は、世界初の2nm GAA(Gate-All-Around)プロセスで製造されたスマートフォン向けSoCとして位置付けられています。微細化競争のなかで先んじて2nm世代に到達した形となり、トランジスタ密度や電力効率の面で次世代の基準を提示する一手といえます。
CPU/GPU構成の要点は次のとおりです。
- Armv9.3アーキテクチャに基づく10コア構成で、プライムコアにArm C1-Ultra、その他にC1-Proを採用しています
- プライムコアの動作クロックは3.8GHzに設定されています
- GPUはAMD RDNAベースの「Xclipse 960」を搭載しています
性能面ではCPU最大39%向上、GPU性能2倍、AI処理能力の強化が打ち出されており、汎用演算からグラフィックス、機械学習まで広範な領域でのスケールアップが図られています。プロセス・コア・GPUの三本柱すべてに刷新が入っている点が、今世代Exynosの大きな特徴となっています。
3DMarkで顕在化する「持続性能」の差──実測ベンチが示すHPBの効果
Geekbench 6だけでなく、3DMarkベースの持続負荷テストでもHPBの恩恵が数値として浮かび上がっています。Android Authorityによる実機比較では、両SoCのサステイン特性に明確な差が出ています。
| 指標 | Exynos 2600 | Snapdragon 8 Elite Gen 5 |
|---|---|---|
| サステナビリティスコア | 74.9% | 53.8% |
約9分のテスト経過後に両者のスコアが収束し、最終局面ではExynos版がわずかに上回ったと報告されています。
このサステナビリティスコアの差は、Exynos搭載機がピークフレームレートの落ち込みを抑えられていることを示しています。一方で課題も指摘されており、同じC1-Ultraを採用するMediaTek Dimensity 9500が4.21GHzに到達するのに対し、Exynos 2600は3.8GHzにとどまる点はクロック面での見劣りといえます。瞬間的なピーク値ではDimensity勢に届かないものの、長時間負荷でのスコア維持率という別軸で存在感を示している格好です。なおGalaxy S26シリーズは2026年2月25日のUnpackedで発表され、3月11日に発売されています。
Q&A
Q. なぜパッシブ構造のExynos 2600が液体窒素冷却機より速いと報じられているのですか? 液体窒素は実験室での瞬間ピーク用途には強い一方、実際のスマホ利用での長時間負荷には効果が乏しいと整理されています。HPBは持続的にクロックを維持する設計とされており、サスティン領域では優位に立てるという内容です。
Q. Exynos 2600搭載モデルはどの地域で提供されますか? Exynos 2600搭載モデルは欧州・韓国・インドなどのGalaxy S26およびGalaxy S26+に限定されると伝えられており、Galaxy S26 Ultraは全世界でSnapdragon 8 Elite Gen 5構成になるとされています。米国市場ではExynos 2600モデル自体が提供されないと報じられています。
Q. HPBは今後他機種にも展開される可能性はありますか? 現時点で展開計画について明確な情報は出ていません。今回の報道で前提となっているのは欧州・韓国・インドのGalaxy S26およびGalaxy S26+への搭載のみで、Galaxy S26 Ultraや他シリーズ、後継モデルへの展開可否は公表されていません。冷却機構はSoCの熱設計と一体で詰める必要があるため、Exynos 2600の供給範囲拡大とセットで広がる可能性は理屈の上ではあり得ますが、現状は推測の域を出ません。詳細は出典元を参照してください。
出典
- Android Headlines — Samsung's Exynos 2600 Outperforms a Liquid Nitrogen-Cooled Snapdragon 8 Elite Gen 5
- Android Central — Meet the Exynos 2600: Samsung's major leap in chipset technology for Galaxy S26
- Samsung Semiconductor — Exynos 2600 | Mobile Processor