Amazonが近年Kindleエコシステムを徐々に閉じる方向に動いていると指摘されるなか、BOOXは「開いたAndroid路線」で真っ向から対抗します。コンパクトe-readerの新ラインナップ「Poke 7」「Poke 7 Pro」は、6インチ・300ppiのE Inkディスプレイを搭載しながら、わずか165g・厚さ6.7mmという薄型軽量ボディに仕上げられました。Play Store経由で任意のAndroidアプリを動かせる柔軟性を引き継ぎつつ、デザインを刷新した一台です。中国では2026年5月21日に発売されますが、グローバル展開の時期は現時点で明らかにされていません。

Poke 7/Poke 7 Proの共通仕様

両モデルはいずれも6インチ・300ppiのモノクロE Inkディスプレイを搭載し、ストレージは32GB、microSDカードによる最大2TBの拡張に対応します。プロセッサはオクタコアと案内されていますが、具体的なチップセット名は公表されていません。OSはAndroid 11、バッテリー容量は1,500mAh、本体厚は6.7mm、重量は165gです。

背面はリブ加工が施されたデザインに刷新され、Android Authorityによると、グリップ性の向上が期待できるほか、「黒い板」一辺倒だった従来モデルから受ける印象を一新する仕上がりだと評価されています。

RAM 1GB差をどう評価するか——標準とProの選び分け

差は限定的ですが、表にすると整理しやすい構成です。

項目Poke 7Poke 7 Pro
RAM2GB3GB
カラーブルー/ホワイト/サンドホワイトのみ
価格(中国)1,199元(約2万5千円)1,399元(約2万9千円)

前世代は「標準/廉価」の二段構えでしたが、今世代では「標準/Pro」という構成に変更されています。RAMを除けばスペックはほぼ共通で、選び方は「3GB RAMで動作の余裕を取るか」「カラーバリエーションを取るか」という軸になります。価格差は約4千円相当で、Androidアプリを積極的に使うならProの3GB RAMが安心材料になるでしょう。

「閉じたKindle」と「開いたBOOX」

このラインナップが象徴的なのは、BOOXが自社のe-readerを「読書専用機」ではなく「小型Androidデバイス」として位置づけている点です。PalmaシリーズやGoシリーズと同じく、Play Storeを介して任意のAndroidアプリを動かせる柔軟性が訴求されています。

Amazonが近年Kindleエコシステムを徐々に閉じる方向に動いていると指摘されるなかで、BOOXは「オープン路線」を改めて強調しています。2026年の時点でAndroid 11は2020年リリースのバージョンであり、最新OSと比べてやや古さを感じさせる一方で、Kindleユーザーには得られない汎用性をもたらす設計だとAndroid Authorityは指摘しています。

中国先行発売、日本上陸はいつ——価格と展開スケジュール

価格はWeibo上のプロモーション素材から、Poke 7が1,199元(約2万5千円)、Poke 7 Proが1,399元(約2万9千円)からと示唆されています。中国向けの予約ページには、保護ケースやスタンドといった付属品とのバンドル販売も含まれているとされていますが、BOOX公式サイトの記載は発売前のプレースホルダー価格にとどまっている状況です。

5月21日の発売は中国市場に限定されており、グローバル展開は現時点で正式に発表されていません。ただし、過去のPokeシリーズの展開を踏まえれば、数週間のうちに海外向けの動きが出てくる可能性も指摘されています。

日本での購入を検討している読者にとっては、まずは中国版の出荷後にレビューと実機の使い勝手を見極め、グローバル版のアナウンスを待つのが現実的な判断と言えそうです。Kindleの代替として6インチクラスを探しているなら、Android搭載の柔軟性と引き換えにOSバージョンが古い点をどう評価するかが分かれ目になります。

上位機Palma 2 Proとの位置づけ——BOOX 2026年ラインの全体像

Poke 7/Poke 7 Proを2026年のBOOXラインナップ全体のなかで眺めると、廉価帯と上位帯の役割分担が見えてきます。上位機の動向は次のとおりです。

Palma 2 Proが担う「ハイエンド・ポケッタブル」

Palma 2 Proは6.3インチのKaleido 3カラーE Inkスクリーンを搭載し、Android 15と8GB RAM、5Gデータ通信に対応します。重量は173gで、SIM/microSDハイブリッドスロットを備える構成です。価格は399〜400ドル前後とされ、モノクロ6インチ・165gのPoke 7とは価格帯も用途も明確に切り分けられている格好です。

2026年のBOOXでは多くの新モデルでAndroid 16の標準化が見込まれており、2025年に出た製品の多くがAndroid 14またはAndroid 15で動いている状況からの世代交代が想定されています。この流れを踏まえると、Poke 7世代のAndroid 11はあくまでコスト最適化された廉価ラインの位置づけと読み取れます。なおBOOXは「BOOX OS」と呼ばれる独自スキンを採用しているため、素のAndroid体験は得られない点にも留意が必要です。

Kindleが「閉じた」具体的タイムライン——2025年に何が変わったか

元記事で触れた「閉じるKindle」の動きは、2025年を通じて段階的に進行しました。実際に行われた変更を時系列で並べると次のとおりです。

  • 2025年2月26日より「ダウンロード&USB転送」オプションが利用できなくなり、Wi-Fi対応デバイスへの「配信または端末から削除」での送信のみが残されました。
  • 2025年4月22日以降に出版された書籍は、旧バージョンのKindle for PCではダウンロードできなくなり、第三者ツールでは解読できない新しい暗号化方式が要求されるようになりました。
  • 2025年9月19日には、My Notebookに対しても本編と同じ出版社設定のコピー上限が適用されました。
  • 2025年10月、Amazonは購入時の文言を「ご注文によりコンテンツへのライセンスを購入しています」と明示するよう更新し、所有権はAmazon側に残ると示しました。

任意のAndroidアプリを動かせるBOOXの「開いた」設計が改めて意味を持つのは、まさにこうした囲い込みの強化が現実に進んでいるためです。

Q&A

Q. microSDによる2TB拡張は実用上どんなメリットがありますか? 本体ストレージ32GBに加えて最大2TBまで増設できるため、書籍データだけでなく、Androidアプリ経由で扱うPDFや自炊データ、音声ファイルなども大容量で持ち歩けます。Kindleが内蔵ストレージのみで運用される点と対照的で、ライブラリを丸ごと持ち運びたいヘビーユーザーにとって実用的な余裕となります。

Q. 1,500mAhバッテリーで実際どれくらい持ちますか? 具体的な駆動時間はBOOX公式や報道では言及されていません。E Inkディスプレイは表示更新時のみ電力を消費する特性があるため、読書中心の使い方であれば一定の持続時間が期待できますが、Androidアプリの常用やWi-Fi接続時の挙動は実機レビューを待つ必要があります。

Q. 日本で購入できますか? 2026年5月21日の発売は中国市場に限定されており、グローバル展開は正式発表されていません。海外発表があるまでは並行輸入を待つか、BOOXからの続報を待つことになります。

出典