AndroidのPS2エミュレータ「ARMSX2 Refresh」が公開されました。PCSX2 2.7をベースに、従来のx86-to-Arm変換を廃してネイティブArmコードで動作する新実装で、GPUプロファイルはMali・Adreno・PowerVRから選択可能です。レビューを担当したHadlee Simons氏はvivo X300 Ultraで主要3タイトルを試し、フラグシップ機であれば代表的タイトルが現実的に遊べる水準に近づいたと報告しています。「Snapdragon以外のチップでも動く」「最新フラグシップなら主要タイトルが走る」という二点が、読者にとっての最大の体感価値です。

ネイティブArmコード化で性能と互換性が向上

ARMSX2は昨年、Android向けの有望なPS2エミュレータとして登場しましたが、x86-to-Arm変換を用いる構造上、変換による性能ペナルティを抱えていました。今回リリースされたARMSX2 Refreshは、その名のとおりネイティブArmコードでゼロから作り直されており、変換に頼らないぶん高速な動作と互換性の改善が期待できます。

エミュレータコアは、定評のあるPCSX2のバージョン2.7をベースに更新されています。加えて、初期状態で互換性が高くなるようデフォルト設定が見直され、汎用・グラフィック・コア周りの修正、ゲーム個別の修正、そして新しいUIも導入されました。

新UIと設定項目——GPUプロファイルでMali/Adreno/PowerVRに対応

UIは現状ではかなりシンプルで、設定メニューを開く操作も、画面端からのスワイプではなく中央を長押しするという、やや直感的とは言いにくい方式を採用しています。ただし開発チームはUIのさらなる改善を予告しています。

設定メニュー自体はよく整理されており、競合エミュレータと比べても新鮮さがあります。特に注目すべきはGPUプロファイル設定で、Mali、Adreno、PowerVRから選択できます。Snapdragon搭載端末以外のユーザーにとっても朗報といえる仕様です。

実機検証:vivo X300 Ultraで主要タイトルを試用

レビューを担当したHadlee Simons氏は、vivo X300 Ultra上で『Shadow of the Colossus』『Gran Turismo 4』『Burnout 3』を試したと報告しています。

  • Shadow of the Colossus:要求の重いタイトルとして妥当な範囲で滑らかに動作
  • Gran Turismo 4:良好なパフォーマンス。一部で軽微な車体のちらつきあり
  • Burnout 3:同じく良好な動作。同様のちらつきも一部で確認

なお初回起動時にBIOSメニューで止まる現象があり、コントローラーを未接続のままアプリを起動して後からペアリングすると正常に動いたとのことです。同氏はこれが偶然である可能性も指摘しています。

検証は最近のフラグシップ機で行われており、エントリークラスの端末では体験が異なる可能性があるとも添えられています。

入手はGitHub/Discord限定、Play Store版は時期未定

ARMSX2 Refreshは現時点ではプロジェクトのGitHubページとDiscordチャンネルからのみダウンロード可能です。Google Playに掲載されているのは従来のARMSX2(変換コード版)で、Play Store版のアップデートに関する続報は「soon(近日)」と告知されている段階にとどまり、具体的な時期は明示されていません。

競合のAetherSX2やNetherSX2は依然として、より成熟した手堅いPS2エミュレーション体験を提供しています。一方で、特定タイトルで不具合に遭遇しているユーザーにとってARMSX2 Refreshは試す価値のある選択肢になり得ます。現時点ではGitHub/Discord配布のみという制約があるため、安定運用を重視するなら従来のエミュレータと併用しつつ、Play Store版の動向を待つのが妥当でしょう。

競合NetherSX2の現況——v2.0で互換性アップデート、AetherSX2は開発停止のまま

Android向けPS2エミュレーション分野で2026年時点で最も活発に更新されているのはNetherSX2です。元となったAetherSX2は2023年初頭、開発者Tahlreth氏がコミュニティからの嫌がらせを理由に開発を停止し、Google Playからも削除されました。その後を継いだのがTrixarian氏で、GitHub上でNetherSX2としてコミュニティ主導の開発を継続しています。

直近ではバージョン2.0が公開され、GameDBの変換スクリプトを刷新したことで多数のゲームの安定性が改善されています。

  • AetherSX2:開発停止、Play Storeからも撤去済み
  • NetherSX2:Trixarian氏による継承、2026年も活発に更新中、v2.0で互換性向上
  • ARMSX2 Refresh:ネイティブArm化で参入した新興候補

ARMSX2 Refreshが現状GitHub/Discord配布にとどまる一方で、NetherSX2側も成熟度を高めており、当面はユーザーが用途に応じて使い分ける構図になりそうです。

検証機vivo X300 UltraのSoC文脈——Dimensity 9500とMali-G1-Ultra MC12

検証に使われたvivo X300 Ultraが搭載するチップは、MediaTekの最新フラグシップDimensity 9500で、GPUはMali-G1-Ultra MC12です。ARMSX2 RefreshのGPUプロファイルでMali側の最適化が進んだことが、今回の動作報告と密接に結び付いています。

項目仕様
CPU構成Arm C1 Ultra ×1 / C1-Premium ×3 / C1 Pro ×4(1+3+4)
最大クロック4.21GHz(C1 Ultra)
シングルコア性能前世代比 最大32%向上
マルチコア性能前世代比 最大17%向上
消費電力最大37%削減

Dimensity 9500はSnapdragon 8 Eliteを上回るとされ、現時点でこれを超えるAndroid向けSoCはSnapdragon 8 Elite Gen 5のみと評されています。Mali搭載のフラグシップでPS2級タイトルが現実的に動く背景には、こうしたSoC側の底上げも寄与しています。

Q&A

Q. 従来版のARMSX2は引き続きPlay Storeで使えますか? はい、Google Playに掲載されているのは従来のARMSX2(x86-to-Arm変換版)で、引き続き入手可能です。Refresh版は別途GitHubまたはDiscordから入手する必要があり、Play Store版アップデートの具体的な時期は明示されていません。

Q. Snapdragon以外のチップでも使えますか? GPUプロファイル設定でMali・Adreno・PowerVRを選択できるため、Snapdragon以外の端末でも利用しやすい設計になっています。

Q. どの程度の端末スペックが必要ですか? 検証は最近のフラグシップ機であるvivo X300 Ultraで行われています。エントリークラスの端末では体験が異なる可能性があると報告されており、快適に動かすにはフラグシップ級のチップが目安になりそうです。

出典