20,000を超える赤外線ドットで顔を立体スキャンし、1秒未満で解錠。10000mAhバッテリーで最大12ヶ月持続——SwitchBotが新型スマートロック「SwitchBot Lock Vision」と上位モデル「Lock Vision Pro」を発表しました。3D顔認証とMatter over Wi-Fi対応が最大の特徴で、Apple Homeユーザーは追加のハブを購入することなく、Apple TVまたはHomePodがあればそのまま連携できます。価格は標準モデルが$169.99(約2万6千円)、Proモデルが$229.99(約3万6千円)で、本日からAmazonで発売開始です。
顔・指紋・手のひら静脈——Proの3段構え生体認証
Lock Visionシリーズの目玉は、20,000を超える赤外線ドットを投射して顔の3D深度マップを生成する顔認証システムです。写真や動画によるなりすましを防ぎつつ、メガネ・帽子・ウィッグ・濃いメイクをしていてもユーザーを識別できるとSwitchBotは説明しています。解錠時間は1秒未満を謳っており、生体データはすべてローカルに保存され、AES-128で暗号化されます。
上位のLock Vision Proでは、標準モデルの全機能に加えて以下2つの認証手段が追加されます。
- 半導体指紋認証
- 非接触の手のひら静脈認証: 近赤外線で手のひら内部の血管パターンを読み取るため、デバイスに触れる必要がない
複数の認証手段を家族で使い分けたい場合や、より高いセキュリティを求めるユーザーにProモデルの追加価値があります。
デュアル電源とmmWaveレーダーで電池切れを回避
電源系統には冗長性が確保されています。
| 電源 | 仕様 | 想定用途 |
|---|---|---|
| メインバッテリー | 10000mAh充電式 | 通常使用条件下で最大12ヶ月持続 |
| バックアップ | CR123A電池 | メイン切れ時に最大500回の非常解錠 |
| 緊急時 | 外部USB-Cポート | モバイルバッテリー等から一時給電 |
外出中に両方の内蔵電源が尽きても、外側のUSB-Cポートにモバイルバッテリーをつなげば一時的に給電できる設計です。
さらに、Lock VisionはmmWave(ミリ波)レーダーを搭載しており、ドアに人が物理的に近づいたときだけ生体認証スキャンを起動します。常時センサーを動かす必要がないため、バッテリー寿命を可能な限り延ばす設計です。
Matter over Wi-Fi対応——Apple Homeユーザーにとっての朗報
Apple Homeユーザーにとって最も大きいのは、両モデルがMatter over Wi-Fiに標準対応している点です。SwitchBot独自のハブを別途購入する必要がなく、Apple TVまたはHomePodがホームハブとして機能していれば、そのままApple Homeに追加できます。
解錠方法も豊富で、顔認証以外に以下が利用可能です。
- NFCカード
- パスコード
- ジオフェンシングによる自動解錠
- 物理鍵
ただし、9to5Macが指摘しているとおり、現時点でApple Home Keyには非対応です。iPhoneやApple Watchをかざして解錠するあの機能を期待していた人にとっては、ここが唯一の不満点となります。
どちらを選ぶか——価格差$60で得られるもの
両モデルの主要機能(10000mAhの大容量バッテリー、Matter over Wi-Fi、3D顔認証)は共通で、Proが$60上乗せされる対価は「指紋認証」と「手のひら静脈認証」の2つの生体認証オプションです。
- SwitchBot Lock Vision($169.99/約2万6千円): 3D顔認証、パスコード、NFCカード、Apple Home対応
- SwitchBot Lock Vision Pro($229.99/約3万6千円): 上記すべて+半導体指紋認証+非接触手のひら静脈認証
顔認証だけで運用イメージが固まっているなら標準モデルで十分です。家族で複数の認証手段を使い分けたい・帽子やマスクで顔認証が通らない場面を想定するならProが安心です。Apple Home Key非対応は気になるものの、Matter over Wi-Fi対応でハブを買い足さずに済む点は、すでにApple Home環境を整えている人にとって導入のハードルを大きく下げます。
競合製品との比較——3D顔認証スマートロック市場の現在地
3D顔認証スマートロックは2026年に入って一気に競合がそろってきたカテゴリーです。市場規模は2024年の7.8億ドルから2034年には12.95億ドルへ、CAGR7.6%で成長すると予測されています。Lock Visionが直接競合するモデルを並べると違いが見えてきます。
| 製品 | 認証方式 | 接続性 | 備考 |
|---|---|---|---|
| SwitchBot Lock Vision Pro | 3D顔+指紋+手のひら静脈 | Matter over Wi-Fi | $229.99、即日発売 |
| Ultraloq Bolt Sense | 3D顔+手のひら静脈 | Matter対応 | 2026年第2四半期発売予定 |
| Lockly Visage | 3D顔+指紋+レーダー | Wi-Fi | Apple Home Keys対応、バッテリーは最大8ヶ月持続 |
注目すべきはApple Home Key対応の有無で、Locklyが先行しています。一方で静脈認証スマートロックの普及率は2025年時点で5-8%にとどまっていますが、2025-2026年はCAGR40%超で急成長すると見込まれています。Lock Vision Proが手のひら静脈認証を$229.99というレンジに収めたことは、このトレンドを家庭向け価格帯まで降ろした事例として位置づけられます。
防水性能・セキュリティ階層・既存SwitchBotエコシステムとの連携
公式プレスリリースを読むと、本体に施された防御層の細かさが見えてきます。
物理・ソフト両面の保護
Lock Vision Seriesは、警報・施錠・解錠・通信・ストレージ・電源の6階層からなるセキュリティ保護システムを採用し、改ざんアラート、強制解錠保護、緊急SOS指紋認証、遠隔解錠の確認、繰り返し認証失敗後の自動ロックアウトを備えるほか、IP65相当の防水防塵性能で各種天候下での動作信頼性を確保しています。ほとんどのデッドボルトと互換性を持ち、ドライバー1本で約15分のインストールが可能です。
エコシステム面では、Apple Home以外への広がりも明示されています。Matter over Wi-Fi対応により、Amazon Alexa、Apple Home、Google Home、Samsung SmartThingsなど主要なスマートホームプラットフォームでハブなしに動作します。さらに、SwitchBot Smart Video Doorbellと組み合わせれば玄関外の様子を確認しながら来訪者向けの遠隔解錠が行え、Wallet Finder CardをNFCキーとして解錠に使うこともできます。すでにSwitchBot製品を複数台導入しているユーザーほど、Lock Visionの価値が積み増しされる構造になっています。
Q&A
Q. SwitchBot Lock Visionを使うのに専用ハブは必要ですか? Apple Homeで使う場合、専用ハブは不要です。Apple TVまたはHomePodがホームハブとして機能していれば、Matter over Wi-Fi経由で直接接続できます。
Q. Apple Home Keyには対応していますか? 非対応です。iPhoneやApple Watchをかざして解錠するApple Home Key機能は、現時点でサポートされていません。
Q. mmWaveレーダーは具体的に何のために搭載されているのですか? ドアに人が物理的に近づいたタイミングを検知し、そのときだけ生体認証スキャンを起動するためです。常時カメラやセンサーを動かさずに済むことで、バッテリー寿命を可能な限り延ばす狙いがあるとされています。
出典
- 9to5Mac — HomeKit Weekly: New SwitchBot Lock Vision brings facial recognition and Matter over Wi-Fi
- The Manila Times (PR Newswire) — SwitchBot Launches Lock Vision Series, the World's First Smart Deadbolt Locks with 3D Structured-Light Facial Recognition
- PCWorld — SwitchBot Lock Vision series uses 3D facial recognition to unlock