ユーティリティ集「PowerToys」が、30以上のツールを束ねた総合的な生産性スイートへと成長しています。XDAのAbhishek Kumar Mishra氏による体験記では、長年使われてきたサードパーティ製の有償・無償ツール群を、PowerToys単体で置き換えられる段階に到達したと評価されています。複数の有償ツールを契約していたユーザーにとって、まとめて置き換えられる可能性は見逃せないポイントです。

Command PaletteがFlow Launcherを置き換える

Windows標準の検索は使い勝手の悪さが指摘されることが多く、Flow LauncherやVoxといったランチャー系ツールを使い続けてきたユーザーは少なくありません。PowerToysに搭載された「Command Palette」は、その代替候補として完成度を高めています。Mishra氏も、Flow Launcherを長く使ってきたもののCommand Paletteの登場後は他のランチャーを併用する必要を感じなくなったと述べています。

検索性能が課題だったところ、ファイル検索ユーティリティ「Everything」と「ECP3」プラグイン経由で連携させることで、検索結果がより洗練されると紹介されています。プラグインによる機能拡張にも対応しており、アプリ起動・コマンド実行・他のPowerToysユーティリティ呼び出しまで、すべて同じバーから完結します。プラグイン数はFlow Launcherより少ないものの、Mishra氏は不便を感じていないとしています。

加えて最近では「ドック」機能が追加され、タスクバーのように振る舞います。Mishra氏はWindows標準のタスクバーの使用をやめ、このドックに置き換えていると述べています。位置の変更が容易で、画面上部に配置するといったカスタマイズも可能です。従来こうしたタスクバー位置変更には「Explorer Patcher」が使われてきましたが、Windowsの大型アップデート後に動作しなくなる事例があり、安定性に課題を抱えていたとされています。

マルチモニター環境を制するFancyZones

Windows 11のスナップレイアウトは便利な反面、マルチモニター環境や大型ディスプレイを使うパワーユーザーには物足りないという声が以前からありました。これまで「Display Fusion」のような有償ツールが選択肢として挙げられてきましたが、PowerToys内の「FancyZones」がほぼ同等の用途をカバーします。

  • カスタムレイアウトを記憶し、再現できる
  • Display Fusionと比べて軽量に動作する
  • 複雑なレイアウト構造を自分で組み、そこにアプリを割り付けられる
  • デュアルディスプレイ環境でも安定して動作している

レイアウト管理を煩雑にせず、必要な機能はひととおり揃っている点が強みです。

Mouse Without BordersがShare Mouseを置き換える

複数台のPCを1組のマウスとキーボードで操作するニーズに対しては、長らく「Share Mouse」が定番でした。PowerToysに統合された「Mouse Without Borders」は、ネットワーク接続経由でデバイスをペアリングする方式を採用しており、最初に一度ペア設定すれば、その後はスムーズに切り替えて操作できます。

BluetoothドングルとBluetoothモードを切り替える必要があったShare Mouseと比べ、運用負荷が下がる点が強みです。

ひとつのスイートにまとまる価値

ファイル名変更・リサイズ・コピー操作・マウスカーソル制御・複数PC間の共有といった小さなタスクのために、個別アプリを常駐させる必要が薄れています。Command Paletteが各ツールへのハブとして機能し、FancyZonesがウィンドウ配置を覚えてくれる構成は、システムの軽さと一貫した操作体験を両立しやすい設計です。

サードパーティ製ツールを多数組み合わせてWindows環境を整えてきたユーザーにとって、PowerToysへの一本化を一度検討する価値はあります。

0.99で加わったPower DisplayとGrab And Moveがマルチモニタ運用を底上げ

Microsoft PowerToys 0.99は2026年4月のアップデートとして公開され、Power DisplayとGrab And Moveという2つの新しいユーティリティが導入されています。マルチモニタや大型ディスプレイを扱うユーザーにとって、FancyZonesの周辺を補強する位置づけの追加機能です。

2つの新ユーティリティの位置づけ

機能操作主な用途
Power Displayシステムトレイから操作外部モニターの輝度、コントラスト、音量、入力ソース、色温度を1つのフライアウトから制御
Grab And MoveAlt+左クリックでドラッグ、Alt+右クリックでカーソル位置からリサイズ大型モニタや画面外に出たウィンドウの操作

Altを既にシステム修飾キーとして使うユーザー向けに、Winキーへ切り替える設定も用意されています。一方Power Displayには制約もあり、Thunderboltドック越しの外部ディスプレイや、USB-C(Thunderbolt)ケーブルで直結したドック先のディスプレイは検出できないとされています。HDMI直結であれば認識される事例が報告されており、接続構成に注意が必要です。

Command Palette系の進化はWindows本体にも波及

PowerToys側の改良は0.97以降のCommand Palette強化が中心ですが、注目すべきはその成果がWindows 11本体にも吸い上げられはじめている点です。MicrosoftはPowerToysのCommand PaletteをWindows 11の新しいRunダイアログに統合しており、CmdPalのrunプロバイダーは新Runダイアログのコードと同一です。従来よりも高速かつ快適に動作するとされています。

直近リリースで押さえておきたい変化

  • 0.98で追加されたCommand Palette Dockは、よく使うコマンドや拡張を常時表示できる新モードで、画面の上下左右に配置してワークフローに合わせてカスタマイズできます。
  • window transparency(ウィンドウ透過)の調整、検索テキストの保持、非アプリ結果の非表示などの設定が追加されています。
  • 続く0.98.1は保守リリースで、Command Palette・Always On Top・Keyboard Shortcut Manager・設定まわりの細部を整える内容です。

実験的な機能群がWindows標準のRun体験を置き換える流れは、PowerToysが単なるサードパーティ代替に留まらないことを示しています。

Q&A

Q. Command PaletteのドックはWindows標準タスクバーの代わりになりますか? Mishra氏は標準タスクバーの使用をやめ、ドックを代替として運用していると述べています。位置の変更が容易で、画面上部への配置などカスタマイズ性が高い点が評価されています。

Q. Mouse Without Bordersはどのようにデバイスを接続しますか? ネットワーク接続によるペアリング方式を採用しており、一度ターゲットデバイスをペアリングすれば、その後は容易に複数システムを操作できると説明されています。

Q. Command Paletteで検索性能を高める方法はありますか? 「Everything」というファイル検索ユーティリティと「ECP3」プラグインを組み合わせると、検索結果がより洗練されると評価されています。

出典